トレチノインとハイドロキノンは美容に非常に有益です。
非常に効果が高まるため、併用する方も多いです。
しかし、選び方や使い方を間違えている方も非常に多いです。
実際、それぞれの成分は副作用もあり、正しく活用しなければ美容どころか、悪影響さえあります。
ここでは、トレチノインとハイドロキノンの効果と副作用をご説明するとともに、目的別に正しく活用する方法を具体的に紹介していきます。
時間もお金も無駄にせず、正しく活用してください。
目次
- 1.トレチノインとは?
- 2.ハイドロキノンとは?
- 3.トレチノインとハイドロキノンの併用をおすすめする理由
- 4.トレチノインとハイドロキノンを使う前に注意すること
- 4-2.副作用の存在を知っておく
- 4-3.ハイドロキノンは重ね塗りしない
- 4-4.ハイドロキノンを漫然と使用し続けない
- 4-5.妊娠中は使わない
- 4-6.冷暗所に保管し、変色したものは使用しない
- 4-7. ピーリングを併用する
- 4-8. 日焼け止めを使う
- 4-9.トレチノインはあえて副作用が出るような使い方を受け入れる
- 4-10.目的に合った適切なトレチノイン製剤を選ぶ
- 4-11.個人輸入による海外の市販品は注意が必要
- 4-12.トレチノインの副作用が強いと逆に悪化することがある
- 4-13.最初から顔全体に塗らずに、部分的に試し塗りを短期間行う
- 4-14.皮膚をこすらないように気をつける
- 4-15.副作用が出にくい製品を選ぶ
- 4-16.トレチノインと同様の作用を持つ薬剤との併用を避ける
- 4-17.極端な気候を避ける
- 4-18.乾燥を防ぐために保湿をする
- 4-19.洗顔後、トレチノインを塗る前に20~30分乾かす
- 5.目的別の正しい活用ステップ
- 6. 効果を最大化する正しい使い方(メラフェード編)
- まとめ
1.トレチノインとは?
・トレチノインの効果
・トレチノインは、表皮の代謝をうながし(ターンオーバーを高める)、健康な表皮角化細胞(ケラチノサイト)をつくります。
・皮膚の修復力を高まります。
・紫外線を吸収し、皮膚を保護します。
・キメが整い、毛穴が目立たなくなります。ニキビの改善効果もあります。
・皮膚のコラーゲン、ヒアルロン酸が増え、皮膚のハリ、小ジワが改善します。
・毛穴の詰まりが改善され、ニキビも良くなります。
・ハイドロキノン(美白剤)と併用すると、シミ・くすみが改善します。
トレチノインの効果についての詳細は、「画像でわかるトレチノインの効果と効果を最大限高める9つの注意点」をご覧ください。
トレチノインの副作用として、最も重要なものは、レチノイド反応と呼ばれる炎症症状です。その他、炎症性色素沈着がおこったり、日焼けしやすくなるといった副作用が起こりえます。
トレチノインの副作用についての詳細は、「トレチノインの意外と怖い副作用|これを知らないと失敗する7つのポイント」を参考にしてください。
2.ハイドロキノンとは?
・ハイドロキノンの効果
ハイドロキノンは、メラニンの生成をおさえることでシミを改善する塗り薬です。肝斑や炎症性色素沈着には効果を発揮しやすいです。
しかし、老人性色素斑(日光によるシミ)や雀卵斑(そばかす)には効果が出にくいです。
また、ホクロやADM、脂漏性角化症(盛り上がったシミ)には効果がありません。
ハイドロキノン軟膏の治療効果は平均1~3ヵ月かかります。
詳しくは、「ハイドロキノンの効果と効果を最大限に高めるための5つの注意点」を参考にして下さい。
・ハイドロキノンの副作用
・一次刺激(赤み、ピリピリ感)・接触皮膚炎
2週間程度継続すれば自然に落ち着いてくることが多いです。
ハイドロキノンによる皮膚炎症状は、ほとんどがアレルギー性ではなく刺激性です。投与量が多いことが悪化の原因です。そのため適切な使用量や使用方法、使用回数などを守ることによって解決できることが多いです。
・白皮症・尋常性白斑(白抜け)
ハイドロキノンは、メラニンを産生する色素細胞に対する毒性があり、白抜けを生じる副作用が報告されています。高濃度のハイドロキノンを使用した場合に起こりやすいといわれています。
・指趾末端や爪甲、四肢の色素沈着
6~8%の高濃度でやや長期多量に用い、日光曝露やレゾルシノールやフェノールなどと併用した場合に発生したという報告例がありますが、使用中止で可逆的に回復したとのことです。
・外因性組織黒変症
もともと皮膚の色が濃い人種で、5%以上の濃度のハイドロキノンを長期間にわたり使用することで起こるとされていましたが、近年はどの人種でも起こりうるということと、低濃度のハイドロキノン(2%)、短期間(6ヶ月)でも起こりうるという報告があります。
・慢性的な使用によって引き起こされる副作用
色素沈着斑状、外因性組織黒変症、皮膚炎、強膜および爪の色素沈着、外因性組織黒変症部位の扁平上皮癌および皮膚および白内障の治癒能力の低下が報告されています。1年以内に一旦中止することをお勧めします。
ハイドロキノンの副作用の詳細は、「ハイドロキノンをはじめる前に知っておきたい5つの副作用」を参考にして下さい。
3.トレチノインとハイドロキノンの併用をおすすめする理由
皮膚科などでは、ハイドロキノン単独の処方が多いです。その理由は、一般的なトレチノインは1カ月程度で劣化が早く在庫管理しにくいことと、また皮膚炎などの副作用を起こしやすいため、治療中に挫折する方が多いことがあげられます。
しかし、ハイドロキノン単独の使用では、効果を得るのに時間がかかり、効果も実感にくいです。
トレチノインとハイドロキノンの併用が効果的な理由は、トレチノインにより皮膚のターンオーバーを早くして、いったん古い皮膚を捨てることで、新しい肌に生まれ変わり、その肌がハイドロキノンにより白くなるためです。
4.トレチノインとハイドロキノンを使う前に注意すること
ここでは、トレチノインとハイドロキノンの効果を高め、リスクを避けるための注意点について解説いたします。ただし、できれば使用される前にご自分のお肌の状態がトレチノイン・ハイドロキノンを使うべきかどうか、医師に相談することをお勧めします。例えば、シミだと思っていたものが実は皮膚癌だったということもあり得ます。また、使用される場合も使用量や塗布方法は医師の指示通りにしましょう。市販のハイドロキノンを使っている場合でも、親切な医師なら相談に乗ってくれる場合があります。炎症が長引いたりする場合は、トレチノインの濃度を薄めに変更したり、断続的な塗布に変更したりする必要があります。また、ハイドロキノンかぶれに対しては、ハイドロキノンを中止して他の美白剤に変更することで解決することもあります。判断に迷った場合は医師に相談しましょう。
4-2.副作用の存在を知っておく
刺激症状があった場合や皮膚の色の変化があった場合は副作用を疑うことで、デメリットを最小限にできると考えます。
4-3.ハイドロキノンは重ね塗りしない
量が増えることで副作用のリスクも増えます。
シミをカバーできる量だけを塗るようにします。
4-4.ハイドロキノンを漫然と使用し続けない
副作用に配慮して症状改善の有無にかかわらず、1年以内に一旦中止することをお勧めします。
半年~1年後に治療再開して下さい。
4-5.妊娠中は使わない
外用したハイドロキノンの35~45%は皮膚から吸収されるという報告があります。
妊娠中のハイドロキノン外用がリスクを増加させるとは言い切れませんが、念のため使用を控えた方が良いと考えます。
また、トレチノインは妊娠中は使用を控えて下さい。
4-6.冷暗所に保管し、変色したものは使用しない
ハイドロキノンは酸素や熱で変性しやすくなるので、密封した状態で冷蔵庫に保存することをお勧めします。
使用期限を守り、使用期限内でも変色してしまった場合は使わないでください。
変性することで、有毒なベンゾキノンになり、刺激が出やすくなります。
また、トレチノインは、光、熱、空気、湿気に弱く、すぐに劣化してしまいます。
そのため、トレチノインもできるだけ冷蔵庫や引き出しなどに保管しましょう。ただし、製品によっては常温保存可能なものもあります。
4-7. ピーリングを併用する
サリチル酸グリコール酸などのピーリング剤は、皮膚表面にある角層をはがすことで、皮膚の代謝を上げます。
また、美白効果も期待できます。
さらに、ハイドロキノンやトレチノインが浸透しやすくなります。
ケミカルピーリングの詳細は、「医師が解説!ケミカルピーリングの全知識」を参考にしてください。
4-8. 日焼け止めを使う
元々シミは皮膚の細胞を紫外線から守る役割があります。
シミ治療をする際は、シワ・たるみの原因となる皮膚のダメージを避けるために日焼け止めが欠かせません。
また、シミ治療中に日焼け止めを使わないと、なかなか効果が出ないことがあります。
4-9.トレチノインはあえて副作用が出るような使い方を受け入れる
トレチノインの濃度が低いと効果も弱くなります。赤み・乾燥・ヒリヒリ感などの副作用を心配するあまり、弱い濃度のものを使い続けても結果がなかなか出ないこともあります。赤みなどの症状を見ながら、濃度を少しずつ上げていくのがポイントです。
4-10.目的に合った適切なトレチノイン製剤を選ぶ
・種類・・・トレチノイン製剤には、ハイドロキノンと併用して使用する単独のトレチノイン製品と、ハイドロキノンがあらかじめ配合されている製品があります。 代表的な製品として、前者に東大式のトレチノイン(純粋なトレチノインを水溶性のゲルに混ぜて作成)、後者にメラフェードがあります。 なお、種類によっては、副作用が出やすいものもあれば、出にくくなるような工夫をしているものがあります。例えば、東大式のトレチノインは、非常に効果が強い反面、副作用も出やすく、そのため最低1~2週間に1回程度、比較的頻回に医師の診察を受けるように推奨されています。 また、メラフェードは同じくトレチノイン+ハイドロキノンの塗り薬ですが、効果は東大式よりはマイルドな反面、副作用が出にくいという特徴があります。
・濃度・・・一般的に、濃度が高いものは効果も高いですが、副作用も出にくいです。東大式のトレチノインは、0.1%、0.2%、0.4%の3種類があります。 メラフェードは0.1%の1種類ですが、症状などによりご自分で反応を見ながら濃度を変えられるように、ヒアルロン酸の希釈剤がセットになっています。 その他のトレチノイン製品では、0.05%や0.025%などもあります。
トレチノイン製品の詳細は、「塗るだけで簡単に美肌を手に入れる!2種類のトレチノイン製品の使い方」を参考にしてください。
4-11.個人輸入による海外の市販品は注意が必要
個人輸入によりトレチノインは入手可能ですが、注意が必要です。日本では2017.7現在、トレチノインの市販薬はありません(トレチノインよりも効果が弱いレチノールは市販されています)。海外のものは日本人向けではないことも多く、また成分がきちんとしたものである保障はありません。 また、医師が処方したものは、何かあった場合などにアフターケアが受けられるというメリットもあります。
4-12.トレチノインの副作用が強いと逆に悪化することがある
トレチノインの反応が強く出すぎると、炎症が生じて色素沈着が起こることがあります。 赤みやヒリヒリ感が強い場合は、濃度を下げたり、一時的に中止したりする必要があります。 また、トレチノインの副作用以外にハイドロキノンによるかぶれが起こることもあり、それらが混ざった場合、症状が複雑になることがあります。そのため、治療前にハイドロキノンのアレルギーがないか、パッチテスト(試し塗り)を行うとよいです。 ハイドロキノンに対してアレルギーがある場合は、赤みなどにより治療を続けられなくなります。
4-13.最初から顔全体に塗らずに、部分的に試し塗りを短期間行う
特にトレチノインは、最初から顔全体に塗った場合、赤みや皮膚の皮むけで人に会えないくらいひどい炎症が起こることがあります。
もし、どうしても不安な場合は、部分的に試し塗りをするとよいです。
ただし、試し塗りは、肌が慣れてしまうことを防ぐために、1~2週間程度の短期間に留めることをお勧めします。
これは、ハイドロキノンでもかぶれる可能性があるため、同様のことが言えます。
4-14.皮膚をこすらないように気をつける
トレチノイン使用中は皮膚が敏感になります。日焼け止めやメイクを塗る時や落とす時、また洗顔時やタオルで拭く時にこすらないように気をつけてください。ちょっとした摩擦で炎症性色素沈着が起こることがあります。それにより皮膚の黒ずみ(炎症性色素沈着)や肌荒れ、乾燥が悪化することがあります。クレンジングのし過ぎには気をつけてください。特に頬骨がある、固いところは摩擦よる炎症が起こりやすいので注意しましょう。
4-15.副作用が出にくい製品を選ぶ
トレチノインには国内で様々な製品があります。中には赤みや刺激が強いものもあります。その分効果も短期間ででるのですが、一般的に日本人向けのものの特徴として、ダウンタイムが少ないものが好まれます。また、ハイドロキノンも保存期間を過ぎると副作用が起こりやすくなるため、長持ちする製品をお勧めします。
常温保存可能で保存期間が長く、副作用が出にくい、また濃度の調整がしやすいトレチノイン・ハイドロキノン製品にメラフェード(詳細は後述)などがあります。
トレチノインとハイドロキノン製剤の選び方の詳細は、それぞれ「トレチノインクリームの選び方と3つの使い方|ジェルとの違い」、「シミのない美白肌!医師解説ハイドロキノンの選び方とお勧めの製品3選」を参考にしてください。
4-16.トレチノインと同様の作用を持つ薬剤との併用を避ける
卜レチノインと類似作用を持つアダパレンやグリコール酸、レチノールを併用すると、過剰に作用したり、赤み・乾燥がひどくなるなどの副作用が強く出るリスクが高まります。
もし使用中であれば、中止後2週間以上たってからトレチノインを始めてください。
4-17.極端な気候を避ける
風や寒さなどの極端な気候は、刺激を与えることがあります。
4-18.乾燥を防ぐために保湿をする
トレチノインの副作用で皮膚の乾燥があります。1日数回保湿クリームを塗るようにすることをお勧めします。
特に洗顔後は保湿をして下さい。
4-19.洗顔後、トレチノインを塗る前に20~30分乾かす
洗顔後は、タオルでやさしく拭いたあと、20~30分待ち、皮膚が乾燥した状態で塗るようにします。副作用のリスクを下げるためです。
5.目的別の正しい活用ステップ
ここでは、ハイドロキノンとトレチノイン製剤を用いた活用方法をステップで解説いたします。
5-1.日光によるシミ(老人性色素斑)や肝斑に対する使い方
◎ STEP1
まず、トレチノインとハイドロキノンを塗り、シミを落とします。(最長8週間まで) 顔であれば0.1%,体幹や上肢には0.2%,背部や下肢には0.4%のトレチノインとハイドロキノンを使用します。 トレチノインはシミからはみ出さないようにベビー綿棒などで正確に塗るようにします。 一方、ハイドロキノン軟膏は広めに塗ります。その際に、トレチノインを広げないように注意します。 通常開始後数日で赤みや皮膚がポロポロむけたり、ヒリヒリ感が出てきたりします。 逆に1週間経ってもこういった反応がない場合は、濃度が低いことが考えられるため、濃度を上げるか、塗る頻度を増やします。
◎ STEP2
シミが消失したらトレチノインを中止します。 皮膚の炎症がこの間に落ち着いてきます。 STEP2の間は全体的にハイドロキノンを最低4週間塗り続けます。(4~6週間継続します) STEP1を8週間継続した段階で、もし完全にシミが落ちていなくても、一旦休むようにします。 休むことで再開した時の効果が高まります。
◎ STEP3
トレチノインとハイドロキノンを再開します。
注意点 まずは、シミが皮膚癌ではないかなどの診断が必要です。医師に相談しましょう。
角質が盛り上がっているシミの場合は、まずレーザー治療を行います。 肝斑では、2クールの治療が必要となることが多いです。 東大式では、トレチノインとハイドロキノンを別々に用意して使用する範囲を変えることがポイントです。トレチノインの副反応が強いため、シミの治療ではトレチノインは、シミの部分だけにピンポイントで塗るようにします。副作用のリスクをできるだけ少なくするため、シミ以外の場所には極力塗らない方がよいです。 反応が弱い場合はAHA などのピーリング(50~70%、pH1~1.5)を2~3分程度、ベビー綿棒を用いて塗布することも有用です。
5-2.後天性真皮メラノサイトーシス(遅発性太田母斑、ADM)への使い方
ADMは、小さい灰色~黒色の両頬にできることが多いシミです。 肝斑と一見似ていますが、肝斑とは異なり、融合傾向がないことが特徴で、真皮におよぶ深いタイプのシミです。 まずトレチノイン+ハイドロキノンによる治療を行い、浅層のメラニンを除去します。 その後、赤みが落ち着いた時点でレーザー照射を行うと効率よく治療が行えます。 また、トレチノイン治療を行うことで、レーザーによる炎症性色素沈着が起きにくくなるというメリットもあります。
5-3.炎症性素沈着への使い方
やけどや摩擦、ケガの後に炎症による色素沈着が起こることがあります。 日本人は人種的に白人に比べて炎症性色素沈着が起きやすいと言われています。 放置しても数ヶ月~半年程度で改善しますが、トレチノイン+ハイドロキノンにより早くきれいなります。 炎症性色素沈着は、首から下のものでもトレチノイン+ハイドロキノンにより治療が可能です。 治療のポイントとして、トレチノインによる炎症が起こらないように弱めの使用を心がけます。 0.1%のトレチノインを1日1~2 回使用します。 色素沈着が消失したらトレチノインのみを中止し、ハイドロキノンのみを塗ります。
5-4.扁平母斑(カフェオレ斑) への使い方
扁平母斑はレーザーによる治療だと再発したり、治療部位が白抜けしたりすることもあるという問題点がありました。 トレチノインでは、顔であれば効果を出しやすいですが、首から下は効果が出にくかったり、再発しやすかったりする特徴があります。 治療は濃度を高めにしながら、しっかりと行います。 治療後の再発率を下げるポイントは、扁平母斑が消えたように見えても約2~3 週間は続けて塗ることです。 また、トレチノインの重ね塗りやケミカルピーリングを行うことも効果を高めます。 再発を防ぐためにトレチノイン終了後にハイドロキノンを塗ることも重要です。
5-5.尋常性ざ瘡 (ニキビ)への使い方
トレチノインは毛穴の角栓を除去し、皮脂を減少させることでニキビを改善します。 濃度は弱めに設定します。0.1%トレチノインを1~2日に1回程度からスタートし、徐々に濃度や投与回数を増やしていきます。 余分な角質を除去するため、ケミカルピーリングを併用することもあります。
5-6.小ジワ、皮膚のハリの改善のための使い方
シミとは異なり、濃度を低めに設定します。 0.1%のトレチノインを1~2日に1回程度で顔全体に塗り、反応を見ながら投与濃度、投与回数を増やします。 3ヶ月治療後に1ヶ月以上の間隔を空けます。
個人輸入品の代用品を用いた方法
個人輸入による海外の製品でもトレチノイン単独のクリームがあります。 日本人を被験者としたある報告では0.1%卜レチノイン(Retin-Aクリーム)を使用した時は、多くの被験者が副作用に耐えられませんでした。ただし、低濃度の0.025%に変更することで対処できました。 また、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製の0.05%レチノールと0.075%レチノール配合クリームを中年の女性に対して26週間使用した臨床試験では、26週間で肌質の改善やシワ・シミの改善効果があったという報告があります。なお、刺激症状は軽く、ほとんどの例で継続可能でした。
6. 効果を最大化する正しい使い方(メラフェード編)
メラフェードは、常温保存可能で保存期間が長く、副作用が出にくい、また濃度の調整がしやすいトレチノイン・ハイドロキノン製品です。
ここでは、メラフェード(トレチノイン+ハイドロキノン)の特徴と具体的な使用法を目的別にSTEP形式で解説いたします。
6-1.メラフェードの使用法の特徴
メラフェードは、3本セットの塗り薬です。
メラフェードTには、0.1%トレチノインと4%ハイドロキノンが入っています。 メラフェードモイストエッセンスはヒアルロン酸、メラフェードエマルジョンはα―アルブチンとビタミンCがそれぞれ入っています。 液体で浸透性が良く、さっぱりとした使い心地です。
メラフェード使用前 /2ヶ月後・・・ぼんやりとした薄いくすみが改善し、全体的に肌が明るくなっています。
6-2. メラフェードの 基本的な使用方法
1日1回 夜のみ使用します。早く改善したい場合は1日2回使用しても良いです。
◎ Step1 洗顔の後、お手持ちの化粧水を塗る
◎ Step2 モイストエッセンス 3プッシュ+メラフェード T1滴を手の平でよく混ぜ、顔全体(あるいは両頬)に塗布。
◎ Step3 メラフェードエマルジョンを顔全体(あるいは両頬)に適量塗布。
◎ Step4 朝は通常の化粧水+エマルジョン(省略可)。必要あればお手持ちの美容液も塗布できます。
★日中は日焼け止めを塗り、小まめに塗りなおして下さい。
◆ メラフェード 自己調整方法
肝斑=モイストエッセンス1プッシュ+メラフェードT1滴
ノーマル使用=モイストエッセンス2プッシュ+メラフェードT1滴
過敏肌使用=モイストエッセンス3プッシュ+メラフェードT1滴
6-3.メラフェードの注意点
開始後数日~1週間すると剥離、落屑(皮膚がポロポロむける)、乾燥を感じる場合があります。 しかしこれは効いているという証拠ですが、 強い不快感(皮膚の剥離や赤み)を感じたら、モイストエッセンスを多くするか、治療頻度を適宜減らして様子をみて下さい。例えば、2~3日に1回に頻度を落としたりしてみてください。 1~2週間経過後、不快感がない場合は、モイストエッセンスを 2プッシュ に減らし、濃度を濃くします。肝斑は1プッシュまで減らしてもよいです。 治療期間中は化粧水や本剤を塗布する度に刺激を感じる場合もあります。
治療中はメイクや日焼け止めなどは軽く乗せるように塗布し、こすらないようにします(色素沈着の原因)。 使用後 約3ヶ月で1ヶ月間休止しメラフェードエマルジョンだけ塗布、1ヵ月後から治療を再開して下さい。 (休止期間中にシミが濃くなったら再開して下さい。)
まぶた、唇は塗らないでください。(目に入らないようにして下さい) 洗顔・メイク落としによる顔のこすりすぎや日焼けには、特に注意して下さい。(炎症による色素沈着の原因となります)
メラフェードの詳細は、「写真で解説!メラフェードの6つの美肌効果」を参考にして下さい。
まとめ
トレチノインは、皮膚の代謝を高め、それ単独でも小ジワやくすみ、肌質を改善させる効果があります。一方、ハイドロキノンは、メラニンの生成をおさえ、シミを改善します。両者を併用することでより高い効果を得ることが可能です。ただし、ともに副作用が起こり得る薬剤であるため、必ず医師の指導のもと、正しい使用方法を守ってください。
参考文献
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MB Derma.144:84-90.2008