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間違えてはいけない!ケミカルピーリングの正しい選び方と施術の受け方

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ケミカルピーリングとは、ピーリング剤塗ることで、皮膚表面の余分な角質を除去し、美肌効果を得る治療法です。

これを読んでいる方の中には、毛穴の開きや、黒ずみ、シミ、ニキビ、ニキビ跡に悩んでいる方がいるかもしれません。

ケミカルピーリングは、市販のものを用いて自宅でもできる、手軽な治療でもあります。

実は、正しい方法で行わないと、逆に乾燥により小ジワが増えたり、炎症による色素沈着をおこしたりすることもあり得ます。

しかし、正しい方法で行えば、比較的低リスクで美肌を手に入れることも可能です。

ここでは、ケミカルピーリングの正しい知識をくわしく解説いたします。

これを読んでいただくことで、ツルツルの肌を手に入れられると思います。

ぜひ参考にしてみてください。

1.ケミカルピーリングとは

ケミカルピーリングとは、酸を含む薬剤によって皮膚をうすくはぎ、再生を促す治療法のことです。ケミカルピーリングの歴史はとても古く、古代エジプトではクレオパトラがサワーミルクの風呂に入って美しい肌を維持しようとしたといわれています。また、中世のフランスでは貴族がワインを顔に塗っていたそうです。サワーミルクには乳酸、ワインには酒石酸が含まれ、酸を使用して皮膚をきれいにするケミカルピーリングの原理と同様なことが分かります。

1-1.治療のメカニズム

皮膚は定期的に細胞が入れ替わっており、古くなった細胞ははがれ落ちて新しいものに変わっていきます。これをターンオーバーとよびます。ターンオーバーがうまくできていないと、にきびやシワなどの皮膚トラブルにつながることがあります。

ケミカルピーリングの治療では、まず薬剤によって皮膚をやわらかくします。やわらかくなった皮膚ははがれ落ち、再生が促されます。すると皮膚のターンオーバーも促進され、皮膚のトラブルが解消されるだけでなく、ハリも取り戻すことができます。

1-2.治療の手順

ケミカルピーリングの治療手順は以下のようになります。

ここで示すものは、クリニックで行うケミカルピーリングの手順です。

自宅で行う場合は、その製品によって手順は異なりますが、ピーリング剤を塗布して一定時間反応させ、最後に落とすという部分は共通しています。また、自宅用の製品は、弱いものが多いため、中和や冷却は必要ないものが多いです。

STEP1. 洗顔

まず皮膚を清潔にするために、ピーリング前に洗顔をします。皮脂の分泌が多い場合には、エタノールなどの薬剤を使用して除去します。

STEP2. ピーリング剤の塗布

ピーリング剤として代表的なものには、グリコール酸、乳酸、サリチル酸などが挙げられます。目を閉じて仰向けの状態になり、顔にピーリング剤を塗布します。ピーリング剤を塗布すると皮膚の反応が始まるので、長く作用させたい部分から先に塗ることがあります。塗布する時間は15-20秒程度です。皮膚と反応させる時間は薬剤の濃度によっても違いますが数分のことが多いです。強い痛みや赤みがある場合には、ピーリング剤の反応を止めることもあります。

STEP3. ピーリング剤の除去

ピーリング剤を十分に反応させた後は、洗顔で除去します。中和剤を使用することもあります。

STEP4. 冷却

ピーリング後の皮膚は敏感になっているため、十分に冷却します。軽度の赤みは問題ないですが、白色でむくんでいるところや、水泡になっている部分はかさぶたになる可能性があります。適切な治療が行われれば、時間経過と共に改善することがほとんどです。皮膚の状態を確認した後に、ビタミンCローションや保湿剤などを塗ります。

1-3.ケミカルピーリングの費用

ケミカルピーリングは保険適応外です。

クリニックで行う場合、およそ1~3万円前後のことが多いです。

ケミカルピーリングのあとにイオン導入などをセットで行っているクリニックもあり、それによって料金が異なることもあります。

2.ケミカルピーリングが向いている方

ケミカルピーリングの適応となるのは、古くなった皮膚や、トラブルを抱えている皮膚がある方です。

古い皮膚を取り除き、新しい皮膚に入れ替えることで、改善します。

具体的には、ニキビ、シミ、小ジワなどです。他にも脂漏性角化症、日光角化症、疣贅(ゆうぜい)などが適応となっています。脂漏性角化症は加齢や紫外線の影響によってできるイボのことです。

日光角化症は紫外線によってできるものでがんの前段階の病変といわれています。疣贅はウィルス性のイボです。ただし、ニキビ、シミ、シワなどの場合にはピーリングするのは皮膚の浅い層までで効果を期待できますが、脂漏性角化症や日光角化症、疣贅などはより深い層までピーリングする必要があり治療のコンセプトが異なります。今回は美容目的で行われることが多い、ニキビ、シミ、シワに関して説明します。

2-1.ニキビがある方

ケミカルピーリングは、ニキビの治療に向いています。ピーリングにより角質を除去することで、ニキビの原因となる毛穴のつまりが改善されるからです。また、ピーリングの酸による殺菌でニキビが改善します。2週間ごとに3カ月は最低行う必要があります。

ニキビの跡で皮膚に陥凹が見られる場合にはピーリングを繰り返し行うことで少し改善されることはあるものの、元の皮膚の状態に戻すことは難しいと考えられています。

2-2.シミがある方

紫外線の刺激や皮膚のターンオーバーが遅れると皮膚に色素沈着が起こり、いわゆるシミになります。ケミカルピーリングは、皮膚のターンオーバーを促進して色素沈着の原因を除去することができます。1回で効果を得ることは難しいので、医師の指示通り数か月継続的に治療を行う必要があります。

・日光によるシミ(老人性色素斑)・・・日光の刺激によりできるシミです。小さいものは浅めのピーリング、大きいものは深めのピーリングで治療します。ただし、無理をすると炎症後色素沈着のリスクがあります。

・肝斑・・・紫外線や女性ホルモンの影響でできるシミです。ハイドロキノンなどの美白剤との併用が有効です。

・そばかす(雀卵斑)・・・遺伝性があり、紫外線で悪化する特徴があります。ケミカルピーリングで色調の改善が期待できます。

・炎症後色素沈着・・・やけどやニキビの跡、摩擦の刺激などにより生じるシミで、特に治療しなくても半年程度で自然に軽快することが多いです。しかし、ケミカルピーリングとハイドロキノンなどの美白剤を併用することで早期に改善することができます。ただし、強い治療を行うことで逆に炎症がおき、色素沈着が濃くなることがあるので、注意が必要です。

2-3.小ジワがある方

ケミカルピーリングによって皮膚のターンオーバーが促進されるとシワの改善を期待できます。ただし、あくまで浅い部分の変化である小ジワに対してケミカルピーリングは有効ですが、大きなシワや深いシワは皮膚の深い部分の変化ですので、改善はできません。

2-4. ニキビ跡

ニキビ跡の黒ずみは炎症性色素沈着と呼ばれ、これもケミカルピーリングで改善が期待できます。

また、くぼみになったニキビ跡はトリクロロ酢酸などの強いピーリング剤が必要になります。

3.ケミカルピーリングをやってはいけない方

・日光を過剰に浴びる方

・妊娠・授乳中の方

・皮膚の病気に対してステロイド使用中の方

・特定の内服薬を服用中の方

・ケロイド体質の方

・免疫力の低下を認める方

・皮膚にウィルス感染がある方

4.ケミカルピーリングの副作用

ケミカルピーリングは本来、正しく行えば安全な治療ですが少し間違えると副作用が起きる可能性があります。皮膚の状態やピーリング剤、個人の体調などによって副作用が出やすいこともあるので注意が必要です。

4-1.赤み

ケミカルピーリングでは、薬剤によって人工的に皮膚の細胞をはがすので人によっては赤みが出たり、炎症を起こしたりすることがあります。医療機関では、赤みが出る前に薬剤との反応を止めるようにしているところが多いですが、体質によって赤みが出やすい方もいます。

4-2.色素沈着

海外では比較的強いケミカルピーリングも行われていますが、それを日本人に当てはめると色素沈着になってしまうことがあります。白人は、日本人などのアジア人に比べて色素沈着が起こりにくく、皮膚に傷跡もできにくいといわれています。

4-3.乾燥

皮膚の最も外側にある角質層は、皮膚を乾燥や刺激などから守るバリア機能があります。ケミカルピーリングでは、薬剤によって皮膚の表面に存在する角質層をはがしてしまうので、角質層が再生するまでは乾燥しやすくなります。なるべく紫外線にあたらないようにしたり、保湿剤を塗ったりすることによって乾燥を防ぎます。

ケミカルピーリングの副作用については、「ケミカルピーリングの3つの副作用|リスクを最小限にする3つのポイント」を参考にしてください。

5.自宅で行うケミカルお勧めのピーリング製品

5-1.市販品を購入するときは注意が必要

市販品はピーリングとうたっていながら、実際にはクリニックで扱うようなピーリング成分は、厚生労働省の規制によりごく微量しか入っていないことが多いから注意が必要です。

また、低濃度であっても、頻度や使用期間によっては、乾燥や小ジワなどの副作用のリスクも高まります。

5-2. 市販品でおすすめはスキンピールバー

サンソリット

ケミカルピーリングを自宅でできる製品も販売されています。スキンピールバーとよばれる石けんの場合には、自宅で洗顔するだけでピーリングできます。自宅でも問題なく使用できるように、皮膚に刺激の少ない酸が配合されています。

週に2回2分程度泡でパックを行うとより効果的です。

ただし、使いすぎると皮膚の乾燥や小ジワの原因となります。

そのため、できれば、1カ月ごとに医師の診察を受けるなど、適切な指導のもとに使われることをお勧めします。

費用は、135gで、2000円~5000円程度です。15gで数百円のお試し用のものもあります。

ピーリングジェルはお勧めしません

  •  ピーリングジェルは、皮膚に塗って摩擦を起こすと、ポロポロとカスのようなものが出てくるような市販の化粧品です。わずかに皮膚の汚れが取れる程度の効果しかなく、皮膚の摩擦による肝斑の悪化などのリスクもあります。

6.エステで行うケミカルピーリングの落とし穴

日本では、2000年に政府からケミカルピーリングは医療機関で医師免許を所有している者がするようにという通達がでました。そのため、エステでは酸を用いたケミカルピーリングはできないことになっています。国から通達が出る前には、エステでもケミカルピーリングが行われていました。しかし、全く専門知識のない方が施術を行い、かえって皮膚トラブルを招いた事例もありました。例えば、ブライダルエステで結婚式前にきれいになるために施術を受けたのに、色素沈着やかさぶた、赤みが残ってしまったという事例です。

によると、最も使用頻度の高いグリコール酸においては、顔面に塗布する場合は、 pH 3.0以上で濃度が10%以下であれば、ほとんど反応性はみられず、安全性は高いと報告されています。

しかし、副作用が起こった時にエステでは対処できないので、そういう点でもエステでのピーリングはお勧めできません。

ケミカルピーリングは、薬剤によって人工的に皮膚をはがし、再生を促すという医療なので、医療機関において、正しい専門知識を持った医師に施術してもらうことをお勧めします。

7.医療機関で行うケミカルピーリング

一口で医療機関で行うピーリングと言っても、深さや製剤によって大きく内容が異なるので、詳細についてご説明いたします。

7-1.ケミカルピーリングの深さの種類

皮膚は表面から①角層、②表皮顆粒層、⓷基底層、④真皮乳頭層、⑤網状層と呼ばれています。

ニキビやシミ、シワなどに対するピーリングは、最も浅い①角層までのことが多いです。医療機関で行うケミカルピーリングは、ピーリングを皮膚のどの層まで深く作用するかによって4段階に分類されています。

深達レベル

深度による名称

深さ

1

最浅層ピーリング

①角層

2

浅層ピーリング

②表皮顆粒層~③基底層

3

中間層ピーリング

②表皮~④真皮乳頭層

4

深層ピーリング

②表皮~④真皮乳頭層・⑤網状層

 

 

 

 

 

 

 

7-2.ピーリング製剤の種類と特徴

医療機関では、強いピーリングも可能ですが、副作用のリスクが高まります。一般的には以下の種類があります。

名称とおすすめ度 作用 特徴 適応 注意点
グリコール酸☆☆ 浅層/ 皮膚の代謝亢進、皮膚のハリの増加 水溶性で皮膚に浸透しやすい ニキビ、シミ、小ジワ 高濃度で浮腫やびらん、かさぶたのリスク
サリチル酸☆☆ 最浅層/グリコール酸と同様 脂溶性でグリコール酸より深達度が深い ニキビ、シミ、小ジワ 血液中へ吸収されてサリチル酸中毒の危険性
トリクロロ酢酸☆ 中間層/ 皮膚の細胞の活性化、コラーゲン産生促進 蛋白変性・凝固壊死を引き起こす 陥凹のあるニキビ跡、シミ 適切に使用しないと局所的に傷跡が残る危険性
乳酸☆☆☆ 最浅層/ 保湿効果が高い、皮膚の弾力性の増加、メラニン生成の抑制 グリコール酸と同様だが、いくつかの点でグリコール酸よりも優れている 難治性のニキビ 浮腫やびらん、かさぶた、色素沈着の可能性

実は、同じ製品の中にも濃度設定が異なる製品が複数あることが多いです。濃度の選択は、低濃度からはじめ、徐々に上げていくと副作用のリスクを軽減できます。さらに、濃度だけではなく、pH(酸性度)によっても、効果と副作用は変わってきます。

また、日本ではグリコール酸が広く用いられていますが、メリットが複数あることから乳酸ピーリングもお勧めです。

実際は、ご自分の肌の状態を含め、どのピーリング剤が適切か、医師に確認してみてください。

8.お勧めのケミカルピーリング製剤

ピーリングの種類と乳酸ピーリングがお勧めであることをご理解できたと思いますが、具体的なお勧め製品をご紹介いたします。

いくつかのクリニックで取り扱いがありますが、二子玉川美容外科クリニックでも扱っております。

ラクトピール

ケミカルピーリングでは、ピーリング剤に含まれる酸を利用して皮膚の再生を促します。そのため、ピーリング剤を塗っている時間が長いと酸によって皮膚が過剰に傷つけられて、いわゆる化学熱傷という状態になる可能性があります。しかし、医師が開発に関わったラクトピールというピーリング剤は強い酸であるにもかかわらず、薬剤が塗られている部分の皮膚にしか作用しません。つまり、今までのピーリング剤のように皮膚の深い所まで到達しないようになっています。その理由は水分がほとんど含まれないので、薬剤が接触した皮膚の部分にのみ作用して、必要以上に浸透していかないからです。このラクトピールの特徴は特許を取得しています。ラクトピールは皮膚の表面だけに作用するので、効果が高く、副作用が起こりにくい安全な薬剤といえます。

ラクトピール治療前/3ヵ月後

9.ケミカルピーリングの効果をさらに高めるための注意点

9-1.保湿をする

ケミカルピーリングでは、皮膚を乾燥から守ってくれている角質層をはがしてしまうので再生するまでは乾燥しやすくなっています。そのため、十分な保湿をすることで乾燥を防ぎ、小ジワを予防する必要があります。ケミカルピーリングの効果をさらに高めるためにも保湿剤の使用は必須です。

9-2.紫外線防止

皮膚の角質層は、紫外線に対するバリア機能もあります。角質層が再生される前に紫外線を浴びてしまうと、せっかくケミカルピーリングを行ってもシミやシワができやすくなってしまいます。施術後は紫外線を浴びないようにすることが大切です。

9-3.ご自分の肌質や肌の状態にあったピーリング剤を選択する

ケミカルピーリング剤にはいくつか種類があり、皮膚の症状によっても濃度などの調整が必要です。薬で副作用が出る人とでない人がいるように、ピーリング剤にも合う、合わないがあります。ケミカルピーリングの効果を高めるためにも自分の肌質や肌の状態に合ったものを選ぶことが大切です。医師とよく相談するようにしましょう。

9-4.トレチノインやハイドロキノンなどの治療を組み合わせる

トレチノインは皮膚の代謝を高め、古い皮膚を新しい皮膚に生まれ変わらせる作用があります。

ハイドロキノンは、メラニンの生成を抑え、シミを改善する作用があります。

これらの治療をケミカルピーリング後に行うと、角質が除去され薬剤が浸透しやすくなり、より美肌・美白効果が高まります。

ハイドロキノンの詳細は、「ハイドロキノンの効果と効果を最大限に高めるための5つの注意点」を、トレチノインの詳細は、「画像でわかるトレチノインの効果と効果を最大限高める9つの注意点 をご覧ください。

 

まとめ

ケミカルピーリングは、皮膚の細胞を酸によってはがし、再生を促すことでニキビやシミ、小じわに効果を期待できる治療です。ケミカルピーリングで使用する酸の種類や濃度は、皮膚の状態や症状を見ながら調整する必要があります。専門知識をもった医師が行わないと、赤みや色素沈着、かさぶたなど、かえって皮膚トラブルを起こす可能性があるので要注意です。最近では自宅でケミカルピーリングをできる石けんや化粧品も販売されているので、試してみるとよいかもしれません。ケミカルピーリングは、正しく行えば安全で効果的な治療法です。悩んでいる皮膚症状がある場合には、ケミカルピーリングを行う前に信頼できる医師によく相談してみましょう。

参考文献

「厚生科学制究費補助金生活安全総合制究事業エステティックサロンにおける身体危害の防止に関する研究」平成13年度総括研究報告, 2002

形成外科46(3):239-244,2003

調剤と情報2014.8(Vol.20 No.9)

 

 

 

 

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