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シミと肝斑!見分け方とそれぞれに適した治療法

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肝斑らしきシミが気になっているけど、ご自分のシミが本当はどんな種類で、治療法はどれがいいのか分からないという方は多いのではないでしょうか?

一口にシミといっても、シミの種類は多くあるので、シミの改善には種類ごとに適切な治療が必要となります。

「シミ」と一般的に言われているもののは、「老人性色素斑」が多いです。しかし、中には肝斑とまぎわらしいものや、2つが重複してできていることもあります。

実は、それぞれ間違った診断をしてしまうと、治療を行ったときに逆に他のシミが悪化してしまうこともあります。

逆に正確に診断した上で、正しい治療と予防法を行うことで、何年も悩んできた肝斑などのシミから解放されることが可能です。

この記事を読んでいただき、ご自分のシミが肝斑なのかについての見分け方の参考になれば幸いです。ぜひ参考にしてみてください。

1.肝斑とは

30代~40代の女性に多く見られるシミの一種です。額や頬、口周りなどの骨が出っ張っている硬いところに左右対称にできることが多いという特徴があります。

1-1.原因

原因は明確にはわかっていませんが、メイクやマッサージによる摩擦、紫外線、ホルモン、ストレスなどが一般的に増悪因子と言われています。

これらの増悪因子によりメラノサイトというメラニン(色素)を作る細胞が増加したり、メラニンの産生が増えたりすることで肝斑が作られます。

1-2.見分け方

大きさや形は様々ですが顔の左右対称にできる特徴があります。

最もよく見られる部位は、前額部、側頭部、頬骨部、上口唇および下顎で、形は境界明瞭な茶褐色の色素斑です。ただし、後述する日光性(老人性)色素斑よりは全体的にぼんやりしているのが特徴です。

また、通常肝斑は上下のまぶたには発生しないため、他のシミと見分けるポイントとなります。

2.肝斑かどうかを見た目で判断する

ここでは、肝斑かどうかを見分けるためのポイントを解説いたします。

2-1.肝斑と思われるシミの例

肝斑は、頬骨に沿って左右対称にできることが多いです。

実際の肝斑の写真です。

頬骨やこめかみなどの骨がある固いところにできやすいです。

これは、摩擦により皮膚が炎症をおこしやすいためです。

2-2.肝斑以外のシミの例

・老人性色素斑(日光によるシミ)は、丸く境界がはっきりしていることが多いです。ただし、色むら、潰瘍(傷)などがある場合は皮膚癌の可能性もありますので、皮膚科受診をおすすめします。

・後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)と呼ばれる深い層までメラニンがあるシミの一種なども肝斑とまぎらわしいことがあります。

・雀卵斑(そばかす)は、少年期より出ることが多い、鼻から頬にかけて出現する薄茶色のシミです。

“さらに正確にシミを見分けるためには”

  • シミが大きかったり形がいびつ、色むら、血が出るなどの症状があったりする場合は、皮膚ガンの可能性もあります。ダーモスコープと呼ばれる皮膚を拡大してみる器具などで詳しく観察する方法があります。特に悪性の所見はないのかを調べるのに有用です。実は、シミだと思っていたものが皮膚ガンだったということがありえます。
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  • 一見通常のシミのように見えますが、よく見ると濃い部分があります。拡大すると色むらがあります。
  • 日光によるシミや脂漏性角化症よりは色が濃い印象です。

     これらは、実は基底細胞癌という皮膚ガンの一種です。

    レーザーやフォトフェイシャル、ハイドロキノンによる治療はできません。

    皮膚ガンが疑わしい場合は、生検などの詳しい検査が必要になることもありますので医師に相談しましょう。

3.肝斑以外のシミの種類とそれぞれの正しい対策

ここでは、肝斑以外のシミでよく見られ、区別が必要な日光性色素班とADM(後天性真皮メラノサイトーシス)について説明いたします。

3-1.日光性色素斑

日光(紫外線)により発生するシミです。

大きさは様々で男女問わずでき、多くの方が悩むシミの代表格とも言われています。

・原因

紫外線を慢性的に受けることによりできると言われています。日光黒子とも呼ばれ、色素細胞自体の異常というよりも、外部の刺激で発生します。傷害を受けた表皮角化細胞から持続的にさまざまなサイトカイン(免疫システム細胞から分泌されるタンパク質)が産生され、これにより刺激を受けて色素細胞が活性化したものと考えられています。

また、加齢によりターンオーバーが滞ることでメラニンが沈着し、シミとなります。

・見分け方

20代くらいから発症する事もあります。中高年以降に顔面・手背・前腕や下腿の伸側・上背部など、主に日光がよく当たる場所に多く発生します。

大きさは様々で、色は茶褐色から黒色のことが多いです。

日光性色素斑のイメージ

・対策・治療法

主な原因は紫外線なので、日焼け止めや日傘などによる紫外線防御が第一です。

また、ビタミンA、C、Eを含む野菜や果物は紫外線からのダメージから皮膚を守ります。

治療法には、トレチノインやハイドロキノンによる外用薬やレーザー治療、フォトフェイシャル(IPL)などがあります。

3-2.ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の特徴

日光性色素斑や肝斑は表皮にできるのに対し、ADMは表皮よりもさらに奥深い層である”真皮”に色素沈着が見られます。

・原因

はっきりとした原因は不明ですが、紫外線、女性ホルモンの変化、皮膚の摩擦や化粧品アレルギーなど、日常のスキンケアなどが原因で出ることが多いです。

・見分け方

比較的若い方に発症する事が多く、額、頬骨部、鼻翼部、鼻根部、上眼瞼などの両側対称性に生じます。そばかすよりも少し大きく、紫褐色から黒褐色調の色素斑が特徴です。

肝班と非常に似ており鑑別が難しいですが、肝斑は上下のまぶたにはできないので、そこにシミが見られたときはADMを疑います。

上まぶたや頬にポツポツとしたグレーのくすんだシミが特徴です。

ADMは毛が生えているところにもできますが、肝斑はできにくいです。

ADMが悪化すると、このようにべったりとした印象になることもあります。

ただし、肝斑とは異なり、ADMは症状の波は少ないです。

・対策・治療法

日頃のスキンケアや皮膚への刺激を見直し、紫外線対策にも気をつけましょう。

ADMはレーザー治療が有効です。

ただし、肝斑やそばかすと紛らわしいことも多く、合併していることも多いため、診断が難しいこともあります。

治療の前にどの種類のシミがあるかを確認する必要があります。

3-3.特徴の比較

肝斑とその他の2種類のシミの特徴をまとめると以下のようになります。

疾患名

色調

大きさ・形

好発部位

性別の傾向

日光性色素斑

茶褐色

黒色

大きさは様々・楕円形

頬、側頭部

日光を受けやすい部位

なし

肝斑

褐色

大きさは様々・境界明瞭で

左右対称

額、頬、頬骨

口周り

30代~40代

女性

ADM

(後天性真皮メラノサイトーシス)

紫褐色

黒褐色

直径34mm・不鮮明な円形が多数散在

頬骨部、鼻翼部

鼻根部

上眼瞼、側頭部

20代~女性

4.肝斑の治療法(自宅編・クリニック編)

治療法には自宅でできる治療法とクリニックで行う治療法があります。

まずは自宅で簡単にできて、安価でデメリットも少ない方法を試してみてはいかがでしょうか?

ただし、いずれの方法を取る場合でもまずは顔をこすらないように気をつけて下さい。肝斑にとって大切なことは摩擦を避けることです。理由はこすると炎症が起こり、メラニンが増えてしまうからです。摩擦に気をつけて頂くだけでも数ヶ月で何の治療をしないでも改善することがあります。

例えば、メイクを塗る時や落とす時に横滑りを避けたり、洗顔の時に泡をたっぷり付けたりすると摩擦がおきません。その他、タオルでごしごし拭くことや、マッサージなどの刺激も肝斑を悪化させます。レーザーや軟膏治療を行ったとしても、刺激がある限り、肝斑はどんどん出現します。

洗顔時は指が直接皮膚に付かないように泡を多めに使用してください。

4-1.自宅で行う治療法

市販薬でも治療可能です。 上記の洗顔のみでも改善しない方はこちらも試してみてください。

・トランシーノ

主成分であるトランサミンは、アミノ酸の一種です。 その他、シミを抑えるL-システインやビタミンCなども入っています。 トランシーノは、生体内にあるメラノサイト活性化因子であるプラスミンを抑えることで、メラノサイトがメラニンを作るのを防ぎ、肝斑を改善します。

1回2錠、1日2回の内服を続けて、2ヶ月ほどで効果が期待できます。

通販でも購入可能で、1ヵ月分約3000円です。

引用元:トランシーノ公式ページ

4-2.クリニックで行う治療法

自宅治療で物足りない場合、さらに肝斑以外のシミを治療したい場合はクリニックでの治療をおすすめします。なお、肝斑は保険適応ではありませんので自由診療になります。

皮膚科や美容皮膚科で受けられる治療法をご紹介いたします。

・ビタミンCE、トラネキサム酸の内服

これらは市販薬でも代用可能です。ビタミンEは市販のトランシーノには含まれていませんが、抗酸化作用があり、シミの発生を抑えます。

数ヶ月以上の内服をおすすめします。

・トレチノインとハイドロキノン軟膏

トレチノインは、皮膚の代謝を上げてシミがある肌が外に出て行きやすくする作用があります。

また、ハイドロキノンは、メラニンを作らないようにすることで美白作用があります。ハイドロキノンのみの治療を行うこともありますが、両者の組み合わせの方が早く改善します。

皮膚が乾燥したり、ポロポロと皮膚がむけたり、赤み、ヒリヒリするなどの副作用があります。現在は、海外の通販でも購入可能なようですが、日本人向けの製品がおすすめです。

アトピー性皮膚炎などのごく一部の敏感肌の方は向いていないことがあり、もし使ってしまうとかぶれてしまうこともあります。

メラフェード・・・トレチノン・ハイドロキノン・ビタミンC・αアルブチンが含まれる治療薬です。3ヶ月程度で効果が現れることが多いです。

価格は40000~50000円(1セットでおよそ3ヵ月くらい持ちます)

メラフェードによる肝斑の改善例(治療前/2ヵ月後)

メラフェードの詳細は、「写真で解説!メラフェードの6つの美肌効果」を参考にして下さい。

トレチノインとハイドロキノンの詳細は、「トレチノインとハイドロキノンを併用して綺麗になる悩み別の使用法」を参考にしてください。

・レーザートーニング

QスイッチNd:YAGレーザーを低出力(2.8~3.4 J/cm2)で行う治療法です。

メラノソームやメラニン頼粒に選択的に熱変性を与えることで肝斑を改善させるメカニズムが考えられています。週にl~2回程度のペースで3~5 回以上の照射を繰り返し、徐々に改善させていきます。

他の治療法との併用は可能です。併用した場合、早く改善されることが可能です。

きちんと肝斑と診断されれば、レーザートーニングを受けても問題ありませんが、事前に内服などのマイルドな治療法を数ヶ月行ったほうが、レーザートーニングの回数が少なくてすみます。

10回以上行うと白抜けが起こるリスクが高まるので注意が必要です。

治療費用は1~2万円で行っていることが多いですが、クリニックによって治療範囲によって料金が異なることもあります。

レーザートーニングによる肝斑の治療例

・イオン導入

弱い電流を流すことにより、電荷されたトラネキサム酸やビタミンCを皮膚内に浸透させる方法です。

繰り返すことによるデメリットはほとんどないため、気軽に行える治療法です。内服の次くらいにマイルドな治療法なので、レーザーや軟膏治療の副作用が心配な方におすすめです。

治療費用は数千円~2万円程度と様々ですが、一般的に導入する成分を上乗せするごとに価格が上がります。週1回~月1回程度の頻度で改善するまで様子を見ながら行い、治療回数に特に決まりはありません。

・エレクトロポレーション

微弱なパルス電流により細胞内に薬剤を浸透させる方法で、イオン導入に類似の方法です。

費用はイオン導入と同程度のことが多いですが、導入する成分にトラネキサム酸やビタミンC・Eが入っているクリニックをおすすめします。

治療回数・頻度はイオン導入と同様です。

・ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、酸を含む薬剤によって皮膚をうすく溶かし、再生を促す治療法のことです。乳酸ピーリングは美白効果も高いです。治療費はおよそ1~3万円前後のことが多いです。肝斑の場合、月1回くらいのペースで皮膚の様子を見ながら数回受けられるとよいです。

ケミカルピーリングの詳細は、「間違えてはいけない!ケミカルピーリングの正しい選び方と施術の受け方」を参考にしてください。

5.複数のシミが混ざっていて、肝斑があるのかどうか見分けが付かない場合の対処法

5-1.まずは洗顔やメイクの時にこすらないように気をつける

これは前述のように、摩擦により炎症がおこるためです。

こすらないようにしていただくことが前提です。特に定期的にマッサージをしている方は、知らず知らずのうちに肌に負担をかけ、シミを作ってしまっていることがあるので気をつけて下さい。

5-2.濃いシミが混ざっている場合は皮膚ガンではないことを確認しておく

濃いシミがある場合は、前述のように皮膚ガンが混ざっていることもありえます。

少しでも疑わしい場合は、治療前に一度、皮膚腫瘍専門の医師の診断を受けることをおすすめします。

5-3.肝斑を含めた多くのシミに効果的なトレチノイン・ハイドロキノンで治療する

トレチノインとハイドロキノンは、肝斑を含め、老人性色素斑や炎症後色素沈着、そばかすを含めて多くの種類のシミを治療できます。さらに、ニキビ、小ジワ、毛穴も改善する効果があります。

また、効果的であるにもかかわらず、製品にもよりますが、それほどデメリットや手間も比較的少ないと言えます。

トレチノインとハイドロキノンは、ご自宅で気軽に塗るだけなので、メリットが大きいです。

トランサミン(トラネキサム酸)の内服は毎日、数ヵ月にわたり、飲む必要があります。ただし、それ単独では効果が劇的ではないこともあります。

また、レーザートーニングは1~2週間にクリニックに通院しないといけないことと、費用が比較的トータルでかかってしまいます。

イオン導入は、通院の手間もさることながら、効果が乏しいことも多いです。

以上より、トレチノインとハイドロキノンが最もおすすめです。その他、早期改善を希望されている方は複数の治療法を組み合わせると改善効果が高まります。

“肝斑にシミ用レーザーやフォトフェイシャルは逆効果”

  • シミがある場合、特に老人性色素斑が目立つと、シミ用レーザーやフォトフェイシャルを勧められることが多いです。確かにこれらは、老人性色素斑やそばかすに効果があります。しかし、シミ用レーザーやフォトフェイシャルは、逆に肝斑を悪化させることが多いので注意が必要です。
  • 間違って打ってしまうと、いったんはかさぶたみたいになって取れた後にまた出てきたりします。

5-4.紫外線対策を行う

シミが治った後に、紫外線を多く浴びてしまうと、再発してしまいます。

日中はこまめに日焼け止め(SPF30以上)を塗って頂くと、その後の予防になります。

まとめ

「シミ」と言っても、もさまざまな種類があり、それぞれ適切な方法で治療を行う必要があります。

ここでは、肝斑を含むいくつかのシミについて見分け方、治療法、予防法を解説いたしました。

まずは皮膚ガンが隠れていないかも含めて、一度信頼できる医師に相談されることをお勧めします。

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