ケミカルピーリングは、皮膚の余分な角質を除去して、美肌効果を得る治療法です。
ケミカルピーリングを検討されている方や現在治療中の中には、副作用が気になるという方も多いのではないでしょうか?
実は、ケミカルピーリングは、間違った方法で行うと、キズ跡が残ったり、痛みが出たりする可能性がある、リスクをともなう治療法です。
しかし、副作用が起こりやすい条件を熟知していれば、避けられるものも多いです。
ここでは、ケミカルピーリングの副作用について、具体的にどのような症状が出てしまう可能性があるのか、そして、それを出来るだけ避ける方法についてご紹介します。
また、副作用のリスクを最小にしていただくため、おすすめできる具体的なピーリング剤についてもご紹介します。
これを読んでいただくことで、ケミカルピーリングを安全に受けられるようになれば幸いです。
ぜひ、参考にしてみてください。
目次
1.ケミカルピーリングとは
ケミカルピーリングでは酸を含む薬剤を使用して皮膚をうすくはがし、再生を促します。皮膚の細胞は定期的に入れ替わっており、古いものははがれ落ちます。このように古い細胞が新しい細胞に変わっていくことをターンオーバーとよびます。ターンオーバーの速度が遅いと皮膚トラブルの原因になります。具体的には、ニキビ、シワ、シミなどです。ケミカルピーリングは、人工的に皮膚をうすくはがすことでターンオーバーを促進し、皮膚の状態を改善することができます。
2.ケミカルピーリングの副作用
ケミカルピーリングは、専門知識をもった医師が正しく行えば安全な治療ですが、体調や皮膚の状態によって副作用が起きる可能性があります。基本的には、濃度と酸性度(pH)、塗布する時間によって決まります。副作用に関しては事前に説明があることがほとんどですが、わからないことや不安なことは担当の医師によく相談するようにしましょう。
2-1.赤み
ケミカルピーリングでは、酸を含む薬剤で人工的に皮膚の細胞をはがします。そのため、皮膚に炎症を起こすことや、赤みが出ることがあります。医療機関では、薬剤と反応させている時に皮膚をよく観察して赤みが出る前に反応を止めるようにしているところが多いです。しかし、皮膚が敏感な場合や体質によって赤みが出やすい方もいます。
2-2.色素沈着
ケミカルピーリングは当初、欧米でよく行われる治療でした。白人は、日本人などのアジア人に比べると色素沈着になりにくく、また、皮膚に傷跡ができにくい特徴があります。そのため、海外では比較的濃度や酸性度の強いケミカルピーリングも行われています。しかし、それを同じように日本人に使うと色素沈着をおこすことがあるので注意が必要です。
3-3乾燥
ケミカルピーリングでは、皮膚の細胞を人工的にはがすため皮膚を守っている角質層も一時的に取り除いてしまいます。角質層は皮膚の最も外側に存在し、皮膚を乾燥や刺激から守るバリアの役割を担っています。皮膚が再生されればバリア機能が戻るので問題ないですが、それまでの間は乾燥しやすくなります。ケミカルピーリング後は、紫外線を避けることや保湿剤などによって皮膚を乾燥から守る必要があります。
“その他のまれに見られる副作用”
・瘢痕(キズ跡)・・・肥厚性瘢痕(盛り上がった傷跡)、萎縮性瘢痕
・ケロイド・・・キズ跡が赤くみみず腫れのように盛り上がった状態
・感染・・・細菌、ウイルス、真菌(カビ)によるもの
・アレルギー性接触皮膚炎・・・かぶれてしまう
3.ケミカルピーリングのリスクを最小限にするポイント
3-1. 保湿をする
ケミカルピーリングの施術後は、皮膚が乾燥しやすくなっています。酸を含む薬剤で、皮膚を乾燥から守る角質層をはがしてしまうからです。皮膚が再生し、角質層が乾燥から守るようになるまでは十分に保湿をすることが大切です。保湿をしないと、せっかくケミカルピーリングをしても小ジワができてしまう可能性があります。ケミカルピーリングによる副作用のリスクを減らすために十分な保湿をする必要があります。
3-2. 紫外線防止
皮膚の表面にある角質層は、紫外線の影響を減らすバリア機能があります。紫外線は皮膚の乾燥を引き起こすだけでなく、シミやシワの原因になります。ケミカルピーリングでは、角質層の細胞をはがしてしまうため、再生されるまでの間は紫外線を防止する必要があります。施術後は紫外線を浴びないような対策をしましょう。
3-3.ご自分の肌質や肌の状態にあったピーリング剤を選択する
ケミカルピーリング剤にはいくつか種類があり、体質や皮膚の症状によって濃度などの調整が必要です。例えば、グリコール酸は、高濃度(30%以上)、低pH(2以下)で腫れ、キズ、キズ跡のリスクが高まります。事前に医師と相談し自分の皮膚の状態に合ったピーリング剤を選ぶことをお勧めします。
4.副作用のリスクが高いケミカルピーリング製剤
ケミカルピーリングに使用する酸には、乳酸、グリコール酸、サリチル酸、トリクロロ酢酸などがあります。医療機関で専門知識のある医師によってケミカルピーリングが行われれば、一般的に安全だといわれています。しかし、体質や皮膚の状態によって赤みや傷跡などの副作用が起きることがあります。酸の中でも、特にトリクロロ酢酸はタンパクとの結合が強いため、局所的に強く作用し皮膚に跡を残すリスクがあります。また、トリクロロ酢酸は低い濃度ではゆっくりと細胞に作用しますが、濃い濃度の場合には細胞に強く作用します。皮膚の症状によって使用する酸の種類や濃度が決定されますが、不安なことがあれば事前に医師に聞くようにしましょう。
5.副作用のリスクが低い製品
ラクトピール
ケミカルピーリングでは、ピーリング剤に含まれる酸を利用して皮膚の再生を促します。そのため、ピーリング剤を塗っている時間が長いと酸によって皮膚が過剰に傷つけられて、いわゆる化学熱傷という状態になる可能性があります。しかし、医師が開発に関わったラクトピールというピーリング剤は強い酸であるにもかかわらず、薬剤が塗られている部分の皮膚にしか作用しません。つまり、今までのピーリング剤のように皮膚の深い所まで到達しないようになっています。その理由は水分がほとんど含まれないので、薬剤が接触した皮膚の部分にのみ作用して、必要以上に浸透していかないからです。このラクトピールの特徴は特許を取得しています。ラクトピールは皮膚の表面だけに作用するので、効果が高く、副作用が起こりにくい安全な薬剤といえます。
治療前後の比較写真・・・角質がなめらかになり、美白効果が見られています。
まとめ
ケミカルピーリングは専門知識をもった医師が行えば、安全で効果の期待できる治療法です。しかし、誤った方法によっては副作用が起きる可能性はあります。どのような副作用が起きるか事前によく理解し、医師と相談してからケミカルピーリングの治療を受けるようにしてください。また、副作用のリスクを最小限にするために必要な保湿や紫外線防止などについても知っておくとよいです。
参考文献
調剤と情報2014.8 (Vol.20 NO.9)
形成外科.16(3):2 39-244, 2003
日本皮膚科学会ケミカルビーリングガイドライン(改訂第3版)