今やアンチエイジングは一般的な言葉となり、その中でもボトックスは手軽にできるプチ整形として有用な方法として知られていますよね。
シワがあると年齢を感じさせるため、消してしまいたいとボトックスを検討中の方も多いのではないかと思います。
手軽なプチ整形として他にヒアルロン酸などがありますが、どの治療法が向いているか、どんな副作用があるかは事前に知っておくと後で後悔する確率を減らせるかもしれません。
実際に、比較的安全とされるボトックスも、頻度の高いものから低いものまで様々なリスクがあります。しかし、それを知った上で安全に行えば、シワを長期間目立たなくさせることが可能です。
今回は、そのボトックスの効果を最大限に高めるためのポイントについて解説していきます。
1.ボトックスの効果
1-1.ボトックスとは
ボトックス(一般名:ボツリヌス毒素)は、主に目尻、額、眉間、口周り、アゴのシワを目立たなくするための注射治療です。
顔には多くの表情筋と呼ばれる筋肉があります。
筋肉が動くことでシワができます。ボトックスはその筋肉の動きを抑える効果があります。打つ量によって抑える程度は変わります。基本的な打ち方はあるもののシワには個人差があるので打つ量や場所を微妙に変えることもあります。
ただし、打ちすぎると無表情になったりするリスクもあります。
ボトックスの眉間のシワの治療例です。
眉間の縦ジワが改善しています。その他、エラの筋肉である咬筋に打つと小顔になる効果があります。
1-2.ボトックスが向かない場所
ボトックスは、シワがあればどの場所でも打てるわけではありません。
例えば、ほうれい線やマリオネットラインにはボトックスは向いていません。ヒアルロン酸注射の方が一般的です。ヒアルロン酸はジェル状の物質を注入してシワを持ち上げる治療法です。半年から1年程度で吸収されてなくなります。
1-3.効果の発現時期と持続期間
一般的に投与後2~3日で効果が発現し、効果は3~4ヵ月持続します。シワが再び出てくる4~6カ月くらいの間隔で入れていくのがよいです。入れ方は持続期間には関係ありません。ボトックスは、筋肉に作用すればどんな打ち方をしても筋肉を抑える効果が必ず出ます。
もちろん入れ方によってはシワ消し作用の効果に差が出ることもあります。また打つ瞬間で効果の出方がほぼ決まり、一旦打った後は結果が出るまで様子を見るしかありません。
1-4.ボトックスの効果を消すことはできない
一旦注射して効果が出た後に結果が気に入らなくても、効果がなくなるまで待つしかありません。しかし、待ちさえすれば逆にやりなおしが効くというメリットでもあります。
ちなみにヒアルロン酸は溶解注射があるため、いつでもリセット可能です。
1-5.製品による違いついて
基本的な主成分は一緒ですが、製品によって効果の強さや持続期間が多少異なることがあります。
安価な製品や中国製のA型ボツリヌス毒素などは品質の保証がなく、メーカによっては菌の種類や添加物などが興なるため有効性や安全性は同じとは限りません。
また、有効期間が短いものを頻繁に注射することで抗体ができて治療効果が得られなくなる可能性もあります。
2. ボトックスの効果を最大限に高めるために知っておきたい12のポイント
2-1. 自分の顔の状態を事前に把握して医師にきちんと伝えた方がよい
額の左右差や眉毛の左右差、シワの深さの左右差がある時は遠慮なく医師に伝えた方がよいです。
左右の量を調整することでバランスを整えることが可能な場合もあります。左右差が微妙な場合、医師が気付かずにそのまま打つと左右差が残ることがあります。また他の医療施設でボトックスの投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出る必要があります。
これは効果の重複や副作用の出現を避けるために重要です。
2-2.施術後はアルコールを控える
ボトックスの副作用でよくあるものとしては内出血があります。特に顔の場合1週間から10日くらいで引きますが、体質などによってはさらに長引くことがあります。
特に施術当日はアルコールや長風呂、運動は控えた方がよいです。アルコールは少量でも意外と内出血が出ることがあり、注意が必要です。
2-3. 眼瞼下垂がある方は額のボトックスは注意が必要
額のボトックスを受ける場合は眼瞼下垂の有無をチェックする必要があります。眼瞼下垂とはまぶたが下がった状態を指します。
眼瞼下垂がある方は額を使って目を開けるような習慣があることが多いです。その場合に額のボトックスを打つとまぶたがかなり重く感じるようになることがあります。
眼瞼下垂の特徴として、以下のようなものがあります。
・目の上が窪んでいる
・黒目が3mm以上隠れている
・アゴを上げて正面を見る癖がある
・肩こりがひどい
眼瞼下垂がある場合は、ボトックスを額の上半分にのみ打つようにしたり、その他の治療を検討するといいかもしれません。
例えば、高周波による照射治療やグロースファクター注入療法があります。これらはともにコラーゲンを増やすことでシワが寄りにくくなる効果があります。
筋肉には作用しないため眼瞼下垂があっても心配はいりません。
2-4.ボトックスは半年に1回くらいを目安に継続に打つことが大切
ボトックスは1回でやめてしまうとやがて元に戻っていきます。
どうせ行うなら長期的に継続して打つ方がよいです。そうすることで折り目が付かずにピンと張った状態を維持でき、シワになる癖ができずに済みます。
いつまでやるかについて疑問に思わる方がいらっしゃるかもしれません。実は、定期的に入れることでシワが目立たない状態を維持することは可能です。
しかし筋肉を動かす癖がなくなることもあるので、様子を見ながらどこかでやめてみてもいいかもしれません。
2-5. 使用上の用法・容量を遵守する
各部位には使用上の用法・用量があり、それを遵守することが大切です。
例えば眉間への1回の投与量は最大で合計20単位まで、目尻は合計24単位までとするとすることなど、原則があります。ボトックスは完全に筋肉を抑える訳ではないので、シワが多少残ることがあります。
そこに無理にお願いしたりして過量投与することは危険です。
2-6.危険ゾーンに打たないように気をつける
打つ場所ごとに危険ゾーンに打たないように気を付けることが重要です。
例えば、眉間では眼瞼下垂にならないように眉毛より下に薬剤が入らないようにしなければなりません。また目尻の治療時において眼球への影響を防ぐために目尻よりも内側に打たないようにしないといけません。
時々目の下のシワが気になるということでそこにボトックスを検討される方がいますがリスクがあります。
例えばリスクを最小限にする方法として、目尻の注射時は、注射針の先端の斜め部分を上にして、目とは反対の向きに刺す方法が有効です。
2-7.既往歴を医師に伝える
ボトックスの投与後、目的の箇所以外の離れた部位に影響と考えられる副作用があらわれることがあります。
飲み込みづらいなどの症状、慢性の呼吸器疾患や筋力の低下を伴う疾患、閉塞隅角緑内障が元々ある場合は悪化するリスクが高まるため注意が必要です。
また施術後に脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、車の運転などに気を付ける必要があります。
既往歴は施術前に医師に言っておく必要があります。
2-8.内服薬を医師に伝える
筋肉の力を抑える作用がある薬剤(アミノグリコシド系抗生物質、ゲンタマイシン硫酸塩、ポリペプチド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質など)の併用により喉が渇いたり、飲み込みづらいといった症状が出ることがあります。
それにより誤嚥性肺炎など重篤な合併症を起こすリスクもあるので、内服薬についても事前に医師に言っておくべきです。
2-9.アレルギーが出ることがある
アレルギー症状(血圧低下、呼吸困難、顔の腫れ、発疹、吐き気)、痙攣発作が起こることがあり、施術後に具合が悪くなったりした場合はすぐに担当医師に連絡しましょう。
2-10.65歳以上の方、妊娠・授乳中の方は注意
65歳以上の方は有効性が低く、副作用が出やすいため注意が必要です。
また、妊婦中あるいは妊娠している可能性のある方、また授乳中の場合は投与できません。
2-11.何回も投与すると効果が出にくくなることがある
ボトックスの投与を長期間繰り返した場合、中和抗体(耐性)ができて、効果が少なくなることがあります。
抗体は血液検査で調べられますが、一般的にはあまり行われていません。もし抗体が産生された場合には、投与を中止するべきです。
2-12.エラは浅く打ちすぎると顔面神経麻痺になることがある
エラのターゲットとなる筋肉(咬筋)は比較的深いところにあります。
咬筋のボリュームを減らすと小顔になるのですが、投与方法を浅く打ってしまうと表情筋に効いてしまい、笑いづらさがでることがあり、注意が必要です。
3.まとめ
ボトックスは、正しい方法で行い、副作用などに対して知識があれば、シワを手軽に治療できるよい方法です。
これからボトックスを検討される方、あるいは治療中の方のご参考になれば幸いです。