紫外線は肌にはよくないと分かっていても意外と無防備な方は多いのではないでしょうか?
紫外線はシミやシワ、たるみの原因となります。
実は、シミは比較的治療しやすいのですが、シワ・たるみは一度できてしまうとなかなか元に戻すのは困難です。
特にシワ・たるみにフォーカスした紫外線対策を長期的に行うことによって、どんな美容医療にもまさる効果を長期的に得ることが可能です。
まずは、日焼け止めによる防御が基本です。日常的には、白浮きしない程度の弱めの日焼け止め(SPF値20-30、PA分類は++以上)をお勧めします。
日中は、特に屋内でも毎日使って頂くことも重要で、こういった地道な習慣により10年後の見た目の老化の進み具合が変わってきます。
つまり、紫外線防止を適切に行うことで、今からすぐに簡単に老化防止を始めることができます。
ここでは、日焼け止めをはじめとした基本的な予防法の他にいくつかの有効な習慣も含めてご紹介いたします。ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
- 1.紫外線とは
- 2.知っておくべき紫外線の恐怖(リスク)
- 3.日焼け止めの種類
- 4.紫外線対策のSPFとPAとは?
- 5.生活習慣別おすすめ日焼け止めの選び方
- 6.紫外線対策のために意識すべき14の生活習慣
- 6-1. 洋服はポリエステル素材の濃い目の色がおすすめ
- 6-2. 帽子・サングラス・日傘も効果的
- 6-3. 10時から14時の外出は特に注意
- 6-4.季節で注意すべきはやっぱり夏
- 6-5.屋内でも日焼け止めを塗る
- 6-6.くもりの日や日陰でも注意が必要
- 6-7.飛行機などの高所では紫外線に注意する
- 6-8.子どもの時から紫外線対策が必要
- 6-9.日焼けして赤くなりやすい人は特に注意が必要
- 6-10.汗をかいたり、こすったりすると日焼け止めの効果が落ちることに注意
- 6-11.日焼け止めの適切な量は、顔であればパール2個分
- 6-12. 食事やサプリメントによる抗酸化対策が効果的
- 6-13.低緯度では紫外線の量が多いことに注意
- 6-14.電子機器からのブルーライト対策も忘れずに
- 7.日焼けをしてしまった場合の対処法
- まとめ
1.紫外線とは
私たちの住む地球に到達する太陽光線は、波長によって紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線に分けられます。
可視光線は、私たちの目で見ることができ、明るさや色を与えてくれます。
それに対して、紫外線や赤外線は目に見えません。
紫外線は、骨の形成に必要なビタミンDの合成に必要です。
しかし、長く浴びるとシミやシワ、皮膚がんの原因となります。
紫外線には、波長の長さによって紫外線A(UVA)と紫外線B(UVB)に分けられます。
UVBは表皮まで到達しますが、UVAや可視光線、赤外線は真皮層(深部)まで到達します。
1-1.UVAの特徴
光老化のうちシミやシワの原因となります。
UVAは、皮膚のコラーゲンを減少させ、シワ・たるみの原因となります。
UVAは活性酸素を介してシワや日光性弾性線維変性と呼ばれる皮膚の弾力が低下を特徴とする皮膚の老化を誘発します。
さらに、酸化作用により、既存のシミを濃くする作用があります。
また、UVAと内服薬の組み合わせによっては、光アレルギー反応を起こすことがあります。
1-2. UVBの特徴
皮膚に最も有害とされるUVBも、皮膚の細胞を傷つけ、シミだけではなく、シワの原因にもなります。
UVBは、光老化や皮膚腫瘍の原因となります。
UVBを浴びることで、体内でビタミンDを合成します。
ただし、ビタミンDを作る目的であれば、20分も屋外にいれば十分です。
それ以上の紫外線への暴露は逆に光老化によるデメリットが勝ってしまいます。
発癌性について
UVBは細胞核に吸収されますが、UVAはUVBに比べ約1/10000しか発癌性はありません。しかし、UVAもUVBも活性酸素を生成することで発癌に関与します。
いわゆる日焼けの経過
UVAにより即時黒化(灰色味を帯びた色)がおこります。
一時的な暴露であれば1時間以内に退色します。
暴露量が多くなると、徐々に褐色がかってきます(持続型即時黒化)。
暴露後数時間してUVBによる紅斑反応が起こります。
これは過度の暴露でなければ数日でおさまります。
紅斑がおさまる時期に、メラニンが産生され、皮膚が褐色になります。
この持続時期は、暴露量に応じて数日~数ヵ月と異なります。(遅延型黒化)
なお、肌質により①赤くなり色が付きにくいタイプ、②平均的なタイプ、③黒くなりやすく色が落ちにくいタイプに分かれます。
特に①赤くなり色が付きにくいタイプの方は、皮膚ガンに注意が必要です。
1-3.近赤外線の特徴
赤外線は、可視光線よりも波長の長い電磁波の一種です。
そのうち、可視光線に波長が近いものを近赤外線といいます。
近赤外線は、深部まで到達する特徴があります。
長時間浴びることで、シワ・たるみの原因となります。
地上に降り注ぐ太陽光のうち、エネルギー量の50%以上を近赤外線が占めます。
そのため、老化防止を考えた時、近赤外線は無視できない存在です。
2.知っておくべき紫外線の恐怖(リスク)
紫外線によって以下のような症状が起こります。
皮膚の老化の80%は紫外線によって引き起こされるとされています。
特に、シミ・シワ・たるみは光老化と呼ばれています。
光老化についての詳細は「光老化の恐ろしい実態と今すぐできる7つの効果的な対策」をご覧ください。
・日焼け・・・紫外線を浴びることによって皮膚に赤みや水ぶくれを生じることがあります。日焼けは、紫外線Bを浴びることによって起きます。紫外線A単独で日焼けは起きないものの、紫外線Bによる赤みを増強するといわれています。日焼けは皮膚の急性反応なので20歳ごろまでであれば痕もなく改善します。しかし、長期間紫外線を浴びていると日焼けだけでなく、シミやシワなどの悪影響が出ます。
・シミ・・・紫外線を浴びると皮膚の色素細胞がメラニンの合成を促進し、皮膚に色素沈着が起きます。紫外線を長期間浴び続けて色素沈着が定着した状態をシミとよびます。
・シワ・・・紫外線Aは、皮膚の真皮とよばれる部分に到達し影響を与えます。長期間、紫外線を浴びていると真皮の組織が変化し深いシワが形成されます。
・たるみ・・・紫外線は皮膚の弾力を保つコラーゲンを減少させるため、皮膚のたるみの原因となります。
・皮膚ガン・・・紫外線はDNAを傷つけ、皮膚がんを発生させる可能性があります。同じ日本人でもハワイに住んでいる日本人は、皮膚ガンの発生率が高いという報告があります。
・免疫低下・・・紫外線は皮膚の免疫を低下させます。夏に皮膚の感染症が流行しやすいのはそのためです。
日焼けサロンの安全性について
日焼けサロンによる人工的な日焼けはけっして安全なものではありません。
最近のマシンはUVAだけでなくUVBも相当含んでおり、シワ・たるみなどの皮膚の光老化だけでなく、皮膚ガンや目の障害の原因にもなります。
なお、人工的日焼けがその後の日焼けに対して皮膚を保護するという効果はありません。WHOは2005年に18歳未満は日焼けマシンを使用すべきでないと勧告しています。
光老化により5年間で法令線が深くなった実例
放置すると、徐々にシワが深くなっていきます。
太陽光による有益な効果
太陽光に含まれる波長360~400nmのバイオレットライトは近視の進行を抑制する効果があります。
現代の子供は小学生で45分程度、高校生で15分程度しか外で過ごしていないといわれています。1日40~80分程度子供を外で遊ばせることで近視の進行が抑制できたという報告があります。
3.日焼け止めの種類
いろいろな紫外線防止グッズがありますが、一番大切なのは日焼け止めをしっかり塗ることです。
ここでは日焼け止めの選び方を解説いたします。
3-1.紫外線吸収剤と散乱剤の性質の違い
主要成分の違いから、紫外線吸収剤と散乱剤に分類されます。
これらの単独あるいは組み合わせが使用されています。
吸収剤は主にUVBに効果があります。
一方、吸収剤の中でUVAに効果がある成分は限られています。
また、吸収剤はまれにかぶれを起こすことがあります。
散乱剤はUVBとUVAの両方に効果があります。
強い遮断力を必要とする場合は、吸収剤入りの方が効果的です。まずは散乱剤の使用をお勧めします。
3-2.紫外線吸収剤を含む日焼け止め
UVBを吸収するものには、パラアミノ安息香酸系や桂皮酸系など多数ありますが、UVA吸収剤はそれほど種類が多くありません。
また、紫外線吸収剤は副作用として、赤みやかゆみなどの皮膚炎を起こす可能性があります。
そのため、「吸収剤未使用」、「ノンケミカル」の表示がある散乱剤製品を使用することをお勧めします。
散乱剤とは異なり、白浮きしづらいですが、べたつき感があります。
最近では、敏感肌の方のために吸収剤を含まない日焼け止めもあります。
その他、吸収剤で注意すべき点として、紫外線を浴びると、構造が変化して、機能が低下するものがある点です。
紫外線吸収剤にかぶれやすい方は、ゴーグルで色素沈着が起こることも
紫外線吸収剤の一種である2-(2-hydroxy-5-methylphenyl)benzotriazole(TINUVIN P®)は、塩化ビニールやポリウレタンなどの劣化を防ぐ素材として広く添加されています。ゴーグルの接触パッドに含まれることもあり、それによる色素沈着型接触性皮膚炎の報告があります。
3-3.紫外線散乱剤を含む日焼け止め
紫外線散乱剤には、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機酸化物と総称される粉体があります。酸化チタンはUVB、酸化亜鉛はUVAの防御に適しています。
散乱剤は、皮膚炎の副作用を起こしづらいという長所があります。
きしみ感、乾燥感があることや白浮きしやすいことが欠点です。最近では塗った後に白くならないようにするために微粒子化されているものもあります。
例えば、ファンデーションに含まれる酸化チタンの粒子径の約10分の1程度の大きさのものを使用した日焼け止めもあります。(ただし、近年EUでは安全性の懸念からナノ粒子配合の議論があります)
散乱剤は、強いものほど白くなりやすいデメリットもあります。
そのため、シーンに合わせた活用が求められます。
3-4.飲む日焼け止め
シダ植物の一種であるポリポジウム・ロイコトモスの抽出物が主成分となっている、ヘリオケアなどの飲む日焼け止めは、紫外線による日焼けやDNA損傷、活性酸素発生を抑える効果があります。主成分はシアンであることから、日光のダメージを強くブロックするほどの量は入れられないため、塗る日焼け止めの補助と考えるのがよいです。
4.紫外線対策のSPFとPAとは?
日焼け止め製品に書かれてあるSPFとPAは、紫外線の防御力の強さを表します。
日焼け止めを選ぶ時には、日光に当たる時間を考慮します。
・SPF値・・・UVBによる日焼けをどれだけ防げるかの指標で数字が高いほど効果を期待できます。SPFによって翌日赤みが出る程度の紫外線を浴び続けられる時間がわかります。SPF値X20によって計算できます。例えば、SPF30であれば、10時間です。日本でのSPFの最高値は50です。それ以上は余り差がないため、SPF50+という記載がされています。
・PA分類・・・UVAによる色素沈着をどれだけ防げるのかという指標で、+から++++までの4段階あります。プラスが多いほど効果が高いです。
PA+ UVA防止効果がある<PA++ 効果がかなりある<PA+++ 非常にある<PA++++ 極めて高い
5.生活習慣別おすすめ日焼け止めの選び方
ここでは、紫外線による皮膚のダメージを避けるために使用すべき日焼け止めの選び方を解説いたします。日常生活とレジャーなど多くの紫外線を浴びるパターンで分けて考えます。
ともに共通するポイントとして、UVAとUVBの両者に有効であることと、紫外線吸収剤がないものか少ないもので、塗り心地が良いものを選ぶとよいです。
ファンデーションを日焼け止めの上に塗ると、べたつき感が抑えらます。
また、ファンデーションにも紫外線防止効果が入っているものがほとんどなので、ダブルで紫外線を防げます。ただし、吸収剤が入っているものは「化粧品かぶれ」の原因となることもあります。
皮膚の老化防止という観点からは、シミは治療しやすいのに対して、一度起こったたるみは改善が難しいため、UVAや近赤外線をしっかりとブロックするのが重要です。
5-1. 日常生活など短時間日光に当たる場合
通学や通勤、買い物など日常生活でも紫外線を浴びています。日常用の日焼け止めとしてはSPF値20-30、PA分類は++以上をお勧めします。
日常で使用する日焼け止めなので低刺激なものや紫外線吸収剤が配合されていないような皮膚に負担の少ないものがよいです。
化粧品に日焼け止めの成分が含まれているものもあります。
確かに強いものは防御力がありますが、白浮きすることも多く、使いづらいかもしれません。
普段は使いやすさを考慮して、上記の強さくらいのものが無難です。
・アクセーヌ UVプロテクション SPF28/PA++
紫外線吸収剤が含まれていないので肌に優しく副作用を起こしづらいといわれています。敏感肌の方でも使いやすいのでお勧めです。保湿効果だけでなく、赤みや毛穴を目立たなくする効果もあるので、成人でニキビが気になる方にお勧めの日焼け止めです。自然な肌色ベースでカバー力もあるのでファンデーションの下地としても使用できます。
価格:2700円
5-2. 長時間日光に当たる場合
海や山などのレジャーで長時間日光にあたる場合には、紫外線を予防する効果の高い日焼け止めを選ぶ必要があります。SPFは30-50と高値で、PA分類も++から+++のものがよいです。汗をかくと日焼け止めが取れてしまう可能性があるので、こまめに塗り直すことが大切です。
お勧めの製品はこちらです。
・アンテリオスXLフリュイド
高い紫外線A防御効果をもつ日焼け止め製品で、同シリーズには乳液、スプレー、クリームタイプがあります。しっかりと日焼け対策をしたい方にお勧めの日焼け止めです。紫外線吸収剤は含まれていますが皮膚炎の副作用は比較的少なく、白浮せず使用感がよいといわれています。乳液とスプレータイプは全身に使用できます。
価格:3,888円
5-3. アトピー性皮膚炎などの敏感肌の方の場合
刺激が少なく、紫外線吸収剤を含まない製品をお勧めいたします。
・アクセーヌ マイルドサンシールド SPF28/PA++
紫外線吸収剤が含まれていないので肌に優しく副作用を起こしづらいといわれているので、敏感肌の方にもお勧めです。伸びがよく使用感がよいです。保湿や耐水性にも優れているのでファンデーションの下地としても使えます。なお、こちらは無香料、アルコール(エタノール)フリー、ノンコメドジェニックテスト済みです。ただし、全ての方に肌トラブルが起こらない、ニキビのもと(コメド)ができないというわけではありませんので、もし肌トラブルが起こったら、すぐに使用を中止してください。
価格:3240円
5-4.さらに強力にシワ・たるみを予防したい方向けの製品
紫外線だけではなく、近赤外線もシワ・たるみの原因となります。
紫外線を防御することが大事ですが、できれば、近赤外線までブロックする製品が皮膚の老化防止に効果的です。
お勧めの製品はこちらです。
価格:11,880円
6.紫外線対策のために意識すべき14の生活習慣
ここでは、日焼け止め以外の紫外線対策をご紹介いたします。
最近では、日傘、つばの付いた帽子、手袋、洋服など多くの紫外線対策グッズがあります。上手に取り入れて紫外線対策をしましょう。
6-1. 洋服はポリエステル素材の濃い目の色がおすすめ
手袋や洋服などの生地はなるべく厚く、綿かポリエステルのものがおすすめです。色は黒などの濃い色の方がよいです。
また、UVカット加工のものは、主にカーボンやセラミック、チタンや紫外線吸収剤を練りこんでいたり、生地に付着させたりしています。
後者は多少耐久性が前者より劣ると言われています。
衣服の防御力の指標として、オーストラリア・ニュージーランドで定められたUPF(Ultraviolet Protection Factor)というものがあります。
この評価方法はサングラスの紫外線防止評価方法がベースとなっています。
UPFは、保護されていない皮膚と保護された皮膚の平均有効値の比によって計算された値です。
例えば、UPF10の衣服は、通常の素肌に紫外線を照射した時の1/10の軽減力を持ちます。
UPFの上限はUPF50+です。
UVカット効果を持つ輸入衣料製品の一部では表示されているので、参考にするとよいでしょう。
6-2. 帽子・サングラス・日傘も効果的
・帽子・・・つばが広い帽子のほうが紫外線防止効果が高いです。
ハットはキャップよりも倍くらい効果的です。
またキャップでつばが10cmのものは、5cmのものよりも1.5倍防御効果が高いです。
また、紫外線は直射光以外にも、散乱光、反射光があるため、帽子のつばの長さを伸ばすだけでは不十分です。
顔だけでなく、首などの露出部には日焼け止めを塗るようにするとよいです。
・サングラス・・・目の上は日焼け止めが汗で垂れてくるなどの理由で塗りづらい場所です。
まぶたの皮膚は薄く、よく動かす場所なので、弾力が低下すると目の上の皮膚が下がってきて、二重の幅が狭くなったり、視界が狭くなったりすることがあります。
また目の周りはシワが寄り安くなります。
可能であれば、サングラスの使用をお勧めします。
・日傘・・・日傘をさすことで、直接上から浴びる紫外線をカットできます。
6-3. 10時から14時の外出は特に注意
日光に当たる時間を少なくすることが紫外線対策では最も重要です。可能であれば、紫外線が強くなる10-14時の外出は控えた方がよいでしょう。
6-4.季節で注意すべきはやっぱり夏
UVAはUVBに比較して年間の変動がすくないです。
UVBは平均して夏は冬に比べて5~6倍多く、UVAは夏だと冬の約2倍多いです。
ともに5月~9月に照射量が多いです。
逆に冬でもある程度の紫外線量があるので、日焼け止めは必要と言えます。
6-5.屋内でも日焼け止めを塗る
UVAは窓ガラスを透過しますが、UVBは厚さ5mmのガラスでほとんど吸収されます。UVAはUABの10 ~50倍地表に多く到達しています。シワ・たるみの原因となるUVAや近赤外線の対策が屋内でも必要です。特に窓の多い屋内で過ごす場合は、日焼け止めが必要です。
6-6.くもりの日や日陰でも注意が必要
雲は紫外線を散乱させ、一部吸収しますが、うす曇りでは快晴時の約80%が届いています。
雨天でも約20%の紫外線が届いています。
特に山など空気が澄んでいる場所は紫外線を多く受けるので注意が必要です。
また、紫外線はUVAもUVBも直接皮膚に到達するのは約50%で、その他は下からの反射や空気中の微粒子からの散乱が50%を占めます。
そのため日陰にいてもある程度紫外線を避けられません。特に雪面からの反射率は80%を超えるのでスキー時には強い日焼けや雪眼(紫外線による網膜の炎症)が生じます。
6-7.飛行機などの高所では紫外線に注意する
紫外線の量は、標高が100m上昇するたびに1%上昇します。
つまり1,000m上昇するたびに10%強の紫外線が増加します。
飛行機が1万mの高度を飛んでいる場合、紫外線量は2倍となります。
飛行機の中でも紫外線対策が必要です。
6-8.子どもの時から紫外線対策が必要
オーストラリアに0歳から10歳の間に移住した人は、10歳以降に移住した人に比べて、生涯で皮膚がんにかかる確率は3~5倍も高いという報告があります。細胞分裂が活発な子どもの時期は遺伝子が傷つきやすいため、小児期の紫外線は皮膚の老化と腫瘍発生の主原因であると考えられています。特に南半球のオーストラリアでは、1980年ごろから国を挙げて児童の紫外線対策に取り組んでいます。
6-9.日焼けして赤くなりやすい人は特に注意が必要
日焼けしてすぐ黒くなりやすい肌質の方と、赤くなるだけで黒くなりにくい肌質の人がいます。
後者の方は、皮膚ガンが起こりやすいため、特に紫外線対策が必要です。
6-10.汗をかいたり、こすったりすると日焼け止めの効果が落ちることに注意
汗をかいたり、海やプールに入った場合、こすったりした場合は効果が落ちます。
特に真夏などは数時間ごとに必要に応じて塗り直すことが重要です。
6-11.日焼け止めの適切な量は、顔であればパール2個分
製品に記載されたSPFの値と同等の効果を得るためには、1平方㎝あたり、2mgを塗る必要があります。
この半分だとSPF値は数分の一に下がってしまいます。
顔の場合、パール2個分が目安です。実際に塗ると、少し厚塗りに感じます。
塗りムラをなくすために、まずパール1粒分を出して全体に塗り、さらにもう1回を全体に重ね塗りするとよいです。
塗る間隔は2時間くらいで塗り直しをすることをお勧めします。
6-12. 食事やサプリメントによる抗酸化対策が効果的
UVAの防御策として、抗酸化対策が重要です。抗酸化物質は細胞の傷害を予防したり遅らせたりする性質があり、野菜や果物に多く含まれます。
野菜や果物を積極的にとりましょう。
また、以下の食品やサプリメントも有用です。
・緑茶・・・紫外線で生じる活性酸素による酸化ストレスを軽減する効果があります。
・アスタキサンチン・・・ビタミンCやEに比べ、抗酸化作用が高い物質です。クリームがあります。
・コエンザイムQ10(CoQ10)・・・抗酸化作用があります。還元型のCoQ10製品を、1日100mgを目安にサプリメントでとるのがおすすめです。
・抗酸化作用のある食品・・・抗酸化作用のあるブドウやナッツにはレスベラトロールが含まれます。その他、トマトに含まれるリコピンも有用です。
抗酸化サプリメントの危険性について
抗酸化物質を食品からとる分には安全性については問題ありませんが、抗酸化サプリメントは高容量で健康に害をおよぼす可能性があるので注意が必要です。
例えば、ベータカロチンのサプリメントを喫煙者が高容量摂取すると、肺癌のリスクが高くなる可能性があります。また、高用量のビタミンEサプリメントは前立腺癌や脳出血のリスクが高くなる可能性があります。
6-13.低緯度では紫外線の量が多いことに注意
夏場の1日のUVB量は、札幌を1とすると、つくば1.25、鹿児島・那覇1.5くらいです。
冬場は、札幌0.2、つくば0.25、鹿児島・那覇0.5くらいです。
高緯度の地域では冬場の紫外線量はほとんど無視できる程度のものかもしれませんが、南の地域では冬場でも紫外線量がある程度あります。
高緯度の地域ではむしろビタミンD不足が懸念されます。
ビタミンDについて
ビタミンDにより①骨の健康維持 ②筋肉量の維持・改善 ③高齢者の転倒 ④関節リウマチの予防⑤乳がんの予防⑥高血圧症の改善⑦インフルエザの予防が期待できます。UVBにより表皮でビタミンD3が作られます。しかし、過度に照射されると紫外線により分解もされます。
1日に必要なビタミンDの量(2000IU)は夏季であれば5~10分程度屋外で日光に当たることで生成することが可能です。(UVBは窓ガラスを貫通しにくいです)
冬季の生成時間は、札幌なら正午には1時間程度、つくばなら22分、那覇は7.5分です。
しかし冬季の15時であれば、それぞれ45時間、4.5時間、17分かかります。
つまり、沖縄など以外の地域ではビタミンDの積極的な摂取が必要となります。
ビタミンDは、食品からも摂ることが可能です。(例:鮭100gには1300~1500IU含まれ、抗酸化物質も豊富なのでお勧めです。その他、サケ、マグロ、サバなどに多く含まれ、牛のレバー、チーズ、卵にも少量含まれます。)
その他、サプリメントを利用することも可能ですが、脂溶性ビタミンであるビタミンDは尿中から排泄されません。そのため過剰摂取により食欲不振や体重減少などの症状を起こすことがあり、気を付ける必要があります。
6-14.電子機器からのブルーライト対策も忘れずに
スマホやパソコンのディスプレイによる青色LED(ブルーライト)の影響で、フリーラジカルが産生され表皮角化細胞を痛めたり、毛穴が広がったり、シミが産生されたりすることがあります。
そのため、画面の明るさを暗くしたり、ブルーライトを遮断するフィルムや本体のブルーライトカット機能により防いだりするとよいです。
7.日焼けをしてしまった場合の対処法
7-1.まずは冷やす
日焼けはやけどの一種です。
濡らしたタオルやアイスパックで冷やして下さい。
ただし、冷やしすぎないように注意してください。
軽い日焼けであれば、赤みが引きます。
7-2重度の日焼けは皮膚科を受診する
赤みが強い場合や水ぶくれがある場合は、皮膚科を受診して下さい。
ステロイド入りの軟膏を数日塗ることで炎症を早く抑えることができます。
まとめ
紫外線はビタミンDの産生に重要であるものの、長時間浴びると日焼けやシミ、シワ、たるみ、皮膚がんの原因となります。紫外線対策のために自分に合った日焼け止めを正しく選択することが大切です。他の紫外線対策として、紫外線が多い時間帯を避ける方法や、紫外線対策グッズを取り入れるという方法もあります。どれくらいの時間、紫外線を浴びるかを考慮してしっかりと紫外線対策を行い、健康な皮膚を維持したいものです。
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