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血管年齢を若返らせるために今日からできる7つの習慣

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これを読んでいる方の中には、血管の老化の老化が気になるという方も多いのではないでしょうか?

血管年齢は、血管の弾力や血管の細胞の機能の高さによって決まります。

実は、血管年齢は毎日の生活習慣の積み重ねで決まり、通常は年々衰えていきますが、生活習慣を改善させると若返らせることができます。

また、見た目の老化は血管の老化とリンクしているという報告もあります。

テレビなどでよく「この食材が血管の若返りにいい」という特集をやっていたりしますが、それを何十年も今後続けるのは現実的ではありません。

それよりも簡単にできる生活習慣の見直しの方が効果的です。

ここでは、どうして血管年齢の老化が問題かを説明するとともに、今日から簡単にできる血管年齢の若返りのための行動について解説いたします。

1.血管年齢の老化はこんなに怖い

「人は血管とともに老いる」(ウィリアム・オスラー)と言われます。

血管の老化、特に血管内皮機能と呼ばれる、血管の内側の機能障害は、動脈硬化を発症させます。

動脈硬の進行から破たんが起こると、心筋梗塞や脳血管障害といった病気に発展していきます。

血管の老化の進行は、“ドミノ倒し”のように進みます。

最初のドミノ牌が倒れることで、次のドミノ牌が倒れていきます。

最初は静かにおこり、徐々に血管の老化が進行し、最悪、最後には死に至ります。

このドミノは一列ではありません。

複数の列に広がったり、また複数のドミノ牌が一つのドミノ牌を倒したりするような複雑に絡んでいます。

脳血管障害と心筋梗塞を加えた動脈硬化は、日本人の死因の25%を占めており、ガンと並んで、トップを占めています。

そのため、動脈硬化性疾患の予防はとても重要です。

政府が推進する「21世紀における国民健康づくり運動」では、「血管年齢」という言葉で血管の老化予防の重要性を伝えています。

耳たぶの縦ジワは、皮膚の毛細血管の減少と関連しており、全身の動脈硬化を反映すると言われています。

その他、男性の薄毛(AGA)、眼瞼黄色腫は、狭心症や心筋梗塞の発症リスクが高いという研究結果があります。見た目の老化は生命予後にも関連しています。

2.血管年齢を決める5つの要素

血管年齢に関わる因子としては、次の「5つの要素」が重要と考えられています。

これらを総合的かつ簡便に計測することが、血管年齢をより早期に評価することにつながります。

①血液硬度・・・血管壁の硬度(=血管のしなやかさ)。脈派伝播速度によって計測される。

②内皮傷害因子・・・炎症・酸化ストレスが原因。

③細胞増殖や血管トーヌス(緊張)の状態

④内皮機能・・・内皮細胞の拡張能・抗凝固能など

⑤血液粘度・・・血液サラサラ度などの血管内因子(血液成分)

2-1.血管で最も重要な内皮細胞

血管構造のうち血管内皮は、血管の最も内層に位置しており、一層の細胞層(血管内皮細胞)よりなっています。

正常な血管内皮は、血管の拡張と収縮、血管平滑筋細胞の増殖と抗増殖、凝固と抗凝固作用、炎症と抗炎症作用、酸化と抗酸化作用を有しており、これらのバランスにより血管構造の調節・維持をしています。

全身の血管内皮を集めると仮定すると、総重量は肝臓に匹敵し、一面に敷き詰めるとすると、総面積はなんとテニスコート6面分にも相当します。

このことより、血管内皮はヒト最大の内分泌器官と言われています。

血管内皮が障害されるとこれらのバランスが崩れ、血管構造の破綻へとつながり、動脈硬化は血管内皮障害を第一段階として発症し、さらに進行すれば、心血管合併症(狭心症、心筋梗塞、脳卒中など)を引き起こすと考えられています。

2-2.動脈硬化の進展

血管年齢が増すことにより、動脈硬化へとつながります。

ここで、動脈硬化について説明します。

動脈硬化は、内皮細胞、白血球、血小板や平滑筋細胞が相互に複雑に関与する慢性炎症が背景にあります。

その他、血管の老化においては、酸化ストレスを介した血管内皮機能障害がとても重要な役割を果たしています。

特に高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、慢性腎臓病などがあると、内皮細胞の障害や活性化が起こりやすくなり、血管内皮表面に接着分子という、炎症を起こす血球が付きやすくなる物質が増加します。

障害内皮細胞に白血球や血小板が接着して活性化し、増殖因子を生産・放出し、平滑筋細胞の遊走・増殖が刺激されます。

これら反応が相互に複雑に関与して、脂質コアや壊死組織、炎症細胞、線維性の被膜からなるプラークが形成されます。

プラークが破たんすると、血栓が形成されます。

2-3.動脈硬化は若い時から静かに起こる

動脈硬化は2030歳ごろからゆっくりと始まります。

血管内膜の中にたまった脂肪の沈着が大きくなり、血管の内側に向かって盛り上がってき、やがて血管の内腔が狭くなってしまいます。

その結果、スムーズな流れだった血流と内膜の間にストレスが生じ、内膜を覆っている内皮細胞に傷が付き、血の塊(血栓)ができます。

この塊で血管が詰まると、急性心筋梗塞などの発作として、初めて症状が現れるようになります。

ですから、2030年に及ぶ沈黙の「動脈硬化の進行」の後に症状が自覚できるようになります。

3.血管年齢を若返らせる7つの習慣

アンチエイジングとは、「抗加齢」あるいは「健康長寿達成」をキーワードに、未病状態から取り組む予防医学の概念です。

血管のアンチエンジングは、その中心的ターゲットと言えます。

今からできる簡単な改善方法について解説いたします。

特に心血管疾患は、食習慣と強い関連があるため、食事内容の改善により心血管疾病の予防が期待できます。

また、血管の老化は可逆的な部分もあるため、早期に取り向くことで、血管年齢の若返りが期待できます。

食生活の欧米化により食事中の脂質成分が多くなってきたこと、高齢化、運動不足、若年女子の喫煙者の増加傾向など、心血管リスクが増加しています。特に、若い世代での喫煙や高脂血症はその後の心血管リスクに大きな影響を与えることから、若い時から生活習慣を改善し、危険因子を少しでも減らす努力がとても大切です。

3-1.塩分を制限する

塩分の過剰摂取は血圧の上昇の原因となります。 

世界の主要な高血圧治療ガイドラインの減塩目標は1日あたり56g未満となっています(「日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン」では、1日当たり6g未満)。

しかし、日本人の食塩摂取量は、1日あたり10gを超えているといわれています。

モチベーションを高く保たないと目標値の達成は難しいのも課題です。

食塩摂取量は個人差があるので、時間をかけて目標を達成するよう徐々に減塩を行うとよいでしょう。

基本的に外食は食塩量が多い傾向にあるので気を付けましょう。

食塩の量が調整しづらい丼物よりも定食がよいなど、メニュー選びを工夫するのもよいです。

以下、塩分を多く食品の例を示します。

・スープやみそ汁・・・1 杯に1 2g の食塩が含まれます。汁物は1 日に1 杯までにしましょう。

・ラーメンなどの麺類・・・スープを飲まないようにします。

・加工食品・・・レトルト食品、冷凍食品、チルド食品、ハム・ソーセージ・かまぼこなどの肉・魚加工食品、缶詰などさまざまなものがあります。

加工食品では食品の保存性を高めるために、生鮮食品に比べて「糖」や「食塩」の量が高い傾向があります。

・漬物、塩辛、塩鮭、めんたいこなどの塩蔵品・・・塩分濃度を高くすることで微生物の生育を抑制し、保存性を高めています。

3-2.肉よりも魚を積極的に摂取する

脂質には、肉類の脂に多く含まれる飽和脂肪酸と、植物油や魚油に多く含まれる不飽和脂肪酸があります。

中でも多価不飽和脂肪酸は、ヒトが生体内で生合成できないため食物から摂取する必要があります。

多価不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は魚介類に多く含まれ、これらの脂肪酸の摂取が、心血管疾患の発症や死亡に予防的に働きます。

3-3.野菜・果物を積極的に摂取する

野菜と果物には、食物繊維やビタミンC、またカリウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

なかでもカリウムは、ナトリウムの排泄を促してくれるため、食塩の摂取量の多い日本人にとって、積極的に摂取したいミネラルです。

しかし、平均的にはまだ摂取目標値には達しておらず、摂取不足の方が多いと思われますので、意識的にとるようにしましょう。

野菜や果物の摂取と心血管疾患の関連についての結果は、欧米・日本でも報告されています。

3-4.食べ過ぎない(カロリーオーバーに気をつける)

「腹八分目に医者いらず」といわれていますが、「腹八分」に関連する細胞シグナル伝達が長寿や心血管疾患の予防に密接にかかわっていることが明らかになりつつあります。

摂取カロリーの適正化は、アンチエイジングに重要な要素であると同時に、心血管疾患を予防する観点からもとても重要です。

ただし、カロリーを制限するあまり、食事の質を落とさないことが重要です。

無理な食事療法になりがちですが、タンパク質、ミネラル、ビタミンが不足しないように偏った食事にならないように気をつけましょう。

3-5.定期的に運動する

身体運動の長期継続実施は、血管老化を防止し、血管機能を良好な状態に保ち、心血管障害を防止することが報告されています。

また、低い強度の運動でも、長期間実施すれば動脈硬化の予防・改善効果があることが報告されています。

高齢者の方などには、ストレッチ、簡単な家事など運動をこま切れでもいいので、可能な範囲で長時間実施することが大切です。

3-6.禁煙する

たばこが急性・慢性を問わず、多くの疾患や障害の原因であることは、科学的に疑う余地はありません。「たばこを吸わない」ということは、ガンだけでなく虚血性疾患の予防にも重要です。

3-7.お酒は適量にする

少量のアルコール摂取では、血管内皮からのー酸化炭素(NO)の生産を促し血管を拡張させる効果があります。

中等度のアルコール摂取は、動脈硬化への進展を阻止する効果と不整脈も抑制する効果があることが、種々の疫学調査でわかってきています。また、虚血性心疾患の予防にはある程度の効果が期待できます。

ただし、「アルコールは諸刃の剣」です。

大量アルコール摂取では、NOによる血管拡張作用が抑制され、血管内皮そのものが機能不全に陥ることも知られています。

また、大量のアルコール摂取は、血管内皮傷害を引き起こすことから血管不全を起こし、心臓に対しては心不全や致死的不整脈を起こす可能性が示唆されています。

そして、大量摂取においては、突然死が起こることも知られています。

この突然死の原因として不整脈の関与が強く疑われています。

明らかな高血圧や高脂血症がある場合は、薬を併用しましょう

治療が必要な高血圧や高脂血症がある方は、受診の上、薬剤治療を受けましょう。

生活習慣を改善して酸化ストレスを軽減した上で、薬を服用することが重要です。

また、症状の有無にかかわらず定期的に健康診断を受診することをお勧めします。

まとめ

どうして血管年齢の老化が問題かを説明するとともに、今日から簡単にできる血管年齢の若返りのための行動について解説しました。テレビの情報に踊らされず、確実な方法を心がけてみて下さい。

参考文献

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CARDIAC PRACTICE   23(3): 281-285, 2012.

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Modern Physician   34(11): 1334-1337, 2014.

Angiotensin Research   6(3): 175-179, 2009.

Heart View   17(6): 670-674, 2013.

Life Style Medicine   2(2): 159-166, 2008.

アンチエイジング医学の基礎と臨床. 3. メジカルビュー社. 2015

Circulation. 2014;129:990-8

BMJ 2009;339:b5262

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